画面がなくてもスマートウォッチ? 「Amazfit Helio Strap」を試して分かったことスマートウォッチ ナビ(2/2 ページ)

» 2025年08月15日 17時00分 公開
[山本竜也ITmedia]
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BioChargeで体調を管理

 計測データは、他のAmazfitデバイスと同じく「Zepp」アプリで確認する。Zeppでは従来、体調の目安として「レディネス」というスコアが利用されていたが、Helio Strapでは新しい「BioCharge」が利用される。実際には、Helio Strap以外でも、今後はBioChargeが使われるようだ。

Amazfit Helio Strap Zepp Health スマートウォッチ ウェアラブル ワークアウト 計測データは「Zepp」アプリで確認するが、従来のレディネスではなく、新たな指標として「BioCharge」が使われる

 レディネスは、前日の活動や睡眠などのデータから、その日の体の回復状況(体調)を数値として表示するもので、スコアの算出は朝のみ(睡眠後のみ)だった。BioChargeも似たような指標ではあるが、更新はリアルタイムに行われるのが大きな違いだ。

 体内のエネルギーをバッテリー残量のように見たてて、0〜100で表示する。その時に自分のエネルギーが、あとどれだけ残っているかを把握できるというもので、運動をしたり、ストレスを受けたりするとBioChargeは減っていき、逆にリラックスしたり昼寝をしたりすると回復する。Garminの「Body Battery」にかなり近い印象だ。

Amazfit Helio Strap Zepp Health スマートウォッチ ウェアラブル ワークアウト 運動などを行うとBioChargeが減っていき、就寝前には最低値に(この日は26)。その後、睡眠することで回復する

運動はアクティビティとして記録される

 肝心の機能面だが、デバイス側で操作は一切できないため、基本的には何かあればアプリを使って操作することになる。5つのスポーツモードを自動認識し、筋トレを含む27種類のワークアウトに対応するとのことだが、どのスポーツを自動認識するのかは説明がなく、いまひとつ分からなかった。

 なお、運動の種類にかかわらず、自動認識された運動はZeppアプリ上では全て「アクティビティ」として記録される。後で「ウォーキング」などの名称に変更はできるが、自動認識ではルートの記録が行われない。

 ルートも含めて記録したい場合には、スマートフォンのZeppアプリ上から運動を開始する必要がある。その場合も、Helio StrapにはGPS機能は搭載されていないので、ルートの記録などはスマートフォンのGPSが利用される(A-GPS)。

Amazfit Helio Strap Zepp Health スマートウォッチ ウェアラブル ワークアウト 自動検知された運動は、全てアクティビティとして記録される。心拍数や運動時間は計測されるが、経路やペースなどの詳細は記録されない。これらを記録したい場合は、自動検知ではなく、アプリ側から運動を開始する必要がある

 ランニングにしろウォーキングにしろ、Helio Strap上では運動中に自分のペースや心拍数などは確認できないので、アクティブに管理するというよりも、とりあえず記録だけはとっておき、必要なら後で見返すという使い方に向いている。

 製品ページではワークアウト管理をアピールしているが、正直なところ、そういった用途に向いているとは思えない。本製品にディスプレイがないので、休憩時間やレップ数などはスマートフォンを確認する必要があるためだ。ワークアウト管理をしたいなら、ディスプレイのあるスマートウォッチを使った方がいいだろう。

万人向けではないが新しい方向性へのチャレンジは評価したい

 正直なところ、ディスプレイがないHelio Strapは、万人にお勧めできる製品とは言えない。お気に入りの腕時計を身に着けたいが、健康管理も行っていきたいという人が、左腕に腕時計、右腕にHelio Strapというスタイルで使うのには良さそうだ。ただ、そのスタイルで使うのであれば、Helio Ringなどのスマートリングの方が向いているかもしれない。

 XiaomiやOPPOのスマートバンド程度にコンパクトなサイズになればと思うのだが、BioTracker PPGバイオセンサーを搭載する都合上、あまり小型化ができなかったのかもしれない。

 一方で、スマートウォッチのような通知やディスプレイに気を取られることなく、静かにヘルスケアデータを蓄積してくれる点は、一部のユーザーには大きな魅力となる。仕事中に頻繁に画面を確認できない職業の人や、シンプルなライフスタイルを好む人にとっては、この控えめな存在感こそが最も評価できるポイントだ。

 しかし、実売1万5900円という価格を考えると、やや中途半端な印象は否めない。同価格帯であれば、ディスプレイ付きのスマートバンドでより多機能な製品を選べるし、健康管理の手軽さを求めるなら、価格はややアップするがより小型なスマートリングという選択肢もある。Helio Strapが真価を発揮するのは、従来の腕時計との併用や極力目立たないウェアラブルを求める、かなり限定的な場面だろう。

 とはいえ、新しい方向性への挑戦としては素直に評価したい製品ではある。ウェアラブル市場の多様化を象徴するという意味では、興味深い製品と言えるだろう。将来的にさらなる小型化やソフトウェアの改善が進めば、このジャンルが広がる可能性もあり、今後の展開に期待したいところだ。

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