「iPhone 17 Pro」が仕掛けるAppleの静かな革命――新冷却システム採用で狙う“野望”とは?本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2025年09月15日 14時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 「iPhone 17 Pro」と「iPhone 17 Pro Max」を手に取った人が最初に気付くのは“軽さ”かもしれない。アルミニウム製のユニボディー構造を採用する新型シャシーは、手にした瞬間にバランスの良さもあって軽さを感じる。

 もちろん、スペックが向上した内蔵カメラの画質や望遠カメラの性能が目的という人もいるかもしれない。しかし、この製品の真価は、外観からは分からない部分にある

 ユニボディーに内蔵されたベイパーチャンバーを中心とした冷却システムは、単なる熱対策以上の意味を持つ。これは、Appleがスマートフォンの概念そのものを再定義しようとする意志の表れといえる。

 商品企画という観点に立つと、スマートフォンは利益の確保が重要な要素となる。そうなると、コストと設計の複雑さを大幅に引き上げうる冷却システムの刷新(ベイパーチャンバーの採用)が不利なのは間違いない。ベイパーチャンバー自体は、Samsung Electronics(サムスン電子)の「Galaxy S25シリーズ」やASUSTeK Computer(ASUS)の「ROG Phone 9シリーズ」など最新のハイエンドスマホでは定番の装備ではある。恐らくiPhone 17 Proシリーズの出荷数はこれらのシリーズを上回るだろうが、複雑な設計は生産技術や管理面でも難しさがあり、量産コストも上振れさせうる。

 利益の確保が重要な製品において、なぜAppleはコストや設計面で“不利”な冷却システムの刷新に踏み切ったのか。理由は明快で、新たに搭載する「A19 Proチップ」が秘める圧倒的な処理能力を十分に発揮させ、Appleが描く「デバイス内AI処理」の未来につなげるためだ。

iPhone 17 Proシリーズ iPhone 17シリーズには、ボディー設計を大幅刷新してでも実現したかったことがある

スマホ用SoCとしては演算能力が非常に高い「A19 Proチップ」

 iPhone 17 Proシリーズが採用するA19 Proチップのスペックを“数値”で見ると、その異常さが際立つ。

 AppleがアナウンスしているA19 ProチップのCPUコア/GPUコアの数と性能向上ぶりを掛け合わせると、CPUのマルチコア性能はMac向けの「M2チップ」に匹敵し、シングルコア性能では明確に上回ると思われる。M2チップは現在でも十分に高速なSoCだと考えると、もはや「スマートフォン用SoC」の範ちゅうを超える性能に達していると言ってもよいだろう。

 さらに今回、AppleはA19 ProチップのGPUコアに「Neural Accelerator(ニューラルアクセラレータ)」を組み込んだ。推論演算を高速化する回路だ。

 Appleは従来からiPhone向けSoCに機械学習処理に特化した「Neural Engine」を搭載しており、最近はCPUコアにも機械学習処理を加速させる回路を追加している。ここにGPUコアも“参戦”させることで、CPU/GPU/Neural Engineが協調してAI処理を行う「3レイヤー構造」が構築された。これにより、「スマートフォン内でMacBook Proレベルのできるようになった」とAppleは説明している。

A19 Pro A19 Proチップでは、GPUコアにも推論演算を高速化する回路が追加された

 一般的に、スマホ向けの新型SoCは設計から生産(量産体制の確立)までに3年はかかる。つまり、Appleは明確に3年以上前から「デバイス内でのAI処理能力」を最優先に置いた設計を選択していたのだ。

 このことは、クラウドサービスへの依存度を下げ、プライバシーを保護しながら、同時にレスポンス性を向上させるという、一見矛盾する要求を同時に満たそうとする試みでもある。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月25日 更新
  1. 画面が伸びる! 勝手に回る! デジタル文房具の未来を拓くLenovoの“変態ギミック”搭載PC 3選 (2026年02月23日)
  2. AI故人との対話は「1年」まで?――開発者があえて「卒業」を推奨する理由 (2026年02月24日)
  3. パーツ高騰の救世主? 実売6000円弱のコンパクトPCケースや1.4万円のIntel H810マザーが話題に (2026年02月23日)
  4. 羊の皮を被った赤い狼 日常に溶け込む“ステルス”デザインにRTX 5070を秘めたゲーミングノート「G TUNE P5(レッド)」レビュー (2026年02月24日)
  5. 16GB版と8GB版のすみ分けが進むRTX 5060 Ti――HDD「完売」報道の影響は? 今週末のアキバパーツ事情 (2026年02月21日)
  6. モニター台とドッキングステーションが合体した「Anker USB-C ハブ 10-in-1 Monitor Stand」が28%オフの1万7990円で販売中 (2026年02月20日)
  7. マウスの概念が変わる! ロジクールG「PRO X2 SUPERSTRIKE」が切り開く“身体感覚”と直結する新たなクリック体験 (2026年02月18日)
  8. ルンバが日本のために本気を出した! 「Roomba Mini」が示す“小が大を兼ねる”新基準とは (2026年02月21日)
  9. サンワ、手首の負担を軽減するエルゴデザイン形状のワイヤレストラックボール (2026年02月24日)
  10. Amazfit、チタン合金ボディーを採用した高耐久スマートウォッチ (2026年02月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年