2025年「新型iPhone」の選び方 主にカメラ視点でチェックして分かった違い 撮影サンプル多数本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2025年09月17日 22時45分 公開
[本田雅一ITmedia]

モデルごとのアウトカメラインプレッション

 ここからは、各モデルで構成が異なるアウトカメラについて、実際に撮影した写真を交えて紹介していく。なお、写真は全てHEIC形式で撮影しており、これを「Adobe Photoshop」で一切加工せずJPEGファイルとして保存し直している。

アウトカメラ 各モデルのアウトカメラは、どんな仕上がりに……?

iPhone 17:「デュアル4800万画素」の真価は?

 iPhone 17の「4800万画素Fusionメインカメラ(広角)」は、標準では4800万画素と1200万画素の映像を合成して2400万画素の写真を出力するという独自のパイプラインを採用している。センサーはiPhone 16シリーズと変わらないが、標準出力解像度が変化したのは処理パイプラインを最適化することによって、より高い画質を実現できたためだろう。

 撮ってみると分かるのだが、特に暗所での撮影性能が良くなった。「画素を全て生かして撮りたい」という場合は、必要に応じてワンタップで4800万画素撮影に切り替えることも可能だ。

 2倍ズームは、光学品質の内蔵望遠(52mm相当)として機能する。メインセンサーの中央1200万画素領域を切り出して、「Deep Fusion」などの専用処理パイプラインを適用することで、優れた解像力を実現している。

発色良好 スタンダードモデルのカメラセンサーは小さいはずなのだが、室内撮影で十分な色のノリと立体感を備える
暗所撮影 Proシリーズほどではないが、暗所撮影も十分なレベルのクオリティーを確保できている
室内撮影 室内撮影だと、Proシリーズのカメラとの描写の違いはあまり分からない(後でProシリーズで撮ったものと見比べてほしい)

 「4800万画素Fusion超広角カメラ」では、解像感の向上を図ると同時に、レンズ部に低反射コーティングを施すことでフレア(不必要な光の反射)を抑制している(低反射コーティングは、メインカメラにも施されている)。Fusionカメラとなったことで、マクロ撮影時に切り出される写真の解像度が大幅に上がっている。

マクロ撮影 iPhone 17の場合、マクロ撮影は超広角カメラの映像をクロップする形で行われる。ボケや解像度はやや落ちるが、iPhone 16 Proシリーズのカメラよりも情報量は多めだ

 日常のカメラとして使うなら、iPhone 17は十分すぎる性能を備えている。

iPhone 17 Pro/Pro Max:「4800万画素×3」のFusionカメラの実力やいかに?

 今回のProモデルのカメラシステムは「ポケットに8本のレンズ」と表現するのが的確だろう。今回は三眼全てが4800万画素センサーを備え、「4800万画素プロFusionシステム」として統合されている。特に望遠カメラは100mm(4倍)と200mm(8倍相当)を光学品質でカバーしている。

 望遠センサーは、前世代比で56%の大型化が図られ、新開発の「3Dセンサーシフト機構」によりブレ耐性も向上している。実用面では、4枚望遠(100mm)が料理などを撮影する際のテーブルフォトやバストアップのポートレートに「ちょうど良い圧縮感」を提供し、200mmは被写体抽出力と自然な被写界深度が魅力だ。

 センサーサイズの大型化の影響は大きく、遠景ディテールの描写力も明らかに一段上がっている。

超広角等倍
2倍4倍
8倍 カメラアプリでデフォルト選択できる「0.5倍(超広角)」から「8倍」までの画角をまとめて撮ってみた。8倍撮影時は、35mmフィルムでの200mmに相当する

 4800万画素広角カメラは暗所性能が強化され、28mm(1.2倍)と35mm(1.5倍)をワンタップで切り替え/既定化できる。2倍ズームはメイン内蔵テレフォトとして高画質を維持し、スナップ撮影からドキュメンタリーまで、焦点域の「間の画角」も使いやすくなっている。

 個人的には料理写真ぐらいの大きさでの100mm相当での撮影が使いやすい。従来の望遠カメラよりも最短焦点距離が近く、テレマクロで使いやすくなっている。

超広角 iPhone Airを除く新モデルでは、超広角カメラが「48MP Fusionカメラ」となった。ゴーストも減り、解像力が大きく向上している
暗所 暗所での撮影能力はさらに高くなり、暗いプロジェクションマッピングを持ちいたインスタレーションの中でもナイトモードなしで低ノイズ撮影が可能だ
望遠カメラ 望遠カメラのセンサーサイズが大きくなり画質が向上。8倍モードでも良好な描写になった
いいね 室内での撮影におけるS/N比(光信号と画像ノイズの比率)がよく、色のノリも良くなった
串焼き
丼 4倍モードでのテレマクロは食事などの撮影に最適。撮影距離、画質の両面で使いやすい

 動画機能では、Proの面目躍如だ。「ProRes RAW」や「ジェンロック」対応により、複数カメラ同期やプロ現場のワークフローに適合する。

 長時間撮影で効果を発揮するのは、前述の持続性能向上だ。発熱による性能低下を気にすることなく、4K動画の長回しが可能になった意義は大きいだろう。

iPhone Air:一眼的なシングル4800万画素の“潔さ”はどうか?

 iPhone Airのアウトカメラは、シングル構成という制約を逆に強みに変える設計思想が興味深い。

 4800万画素Fusionメインカメラ(広角)のみの構成だが、2倍ズーム(約50mm相当)を光学品質で提供する。28mmと35mmのカスタム焦点域も用意され、撮影体験は驚くほど「迷いがない」ものになっている。

 ただ、これだけでは「iPhone 16eと何が違うのか?」という話になる。違いはA19 Proチップによって表れる。

 ポートレートモードでは、シングルカメラでありながら精密なセグメンテーションと前後ボケ、撮影後のフォーカス移動まで対応する。2400万画素での描写は立体感が出やすく背景ボケの質も自然だ。推論能力の向上が如実に現れている。

シングルでもいい感じ レンズスペックは異なるが、基本的な広角カメラの画質はiPhone 17に準じている
暗所 暗所における撮影性能も、iPhone 17とおおむね同等だ
これでいいんじゃないと思う 普通に広角カメラを使うだけなら、特に不満はなく、最新の高画質なカメラと感じるだろう
煮物
丼 他のiPhoneと最も違うのは、近接して撮影した際の奥行き感だ。スーパーマクロは利用できないが、このぐらいの写真では自然な奥行き感が出る

 動画撮影では「4K/60fps撮影」「Dolby Vision規格のHDR撮影」「アクションモード」など、最新機能は一通り搭載している。風雑音低減や空間オーディオ収録にも対応しており、軽さと合わせて「持ち歩いて撮る」用途に最適化されていた。

 実際の使用感として、被写体に近寄れる標準域(2倍ズーム)の使い勝手が良く、薄さゆえの「構えやすさ」が撮影成功率を押し上げる効果は確実にある。多機能なマルチカメラに迷うより「使う画角を決めて撮る」というスタイルを好むユーザーに強く訴求するだろう。


 望遠撮影での表現力と長時間の高負荷処理を重視するなら、iPhone 17 Pro/Pro Maxが明確な選択肢となる。100mmと200mmの「二段望遠」は、被写体の切り出しと背景処理で他モデルでは得られない武器だ。テレマクロの使いやすさも大きな魅力といえる。

 薄さ/軽さを最優先に、標準域(50mm相当)で「気持ちよく撮る」体験を求めるなら、iPhone Airが唯一無二の選択肢だ。シングル4800万画素でも2倍ズームの光学品質と一新されたポートレートモードの処理により画は確実に整う。撮影成功率と所有満足感を両立した、これまでにない提案といえる。

 広角から超広角まで「使える4800万画素」をスタンダードモデルで享受したいなら、iPhone 17が最適解となる。メインも超広角も2400万画素標準出力により、SNSからプリントまで守備範囲が広い。2倍内蔵テレフォトの画作りも素直で、日常撮影での安心感は抜群だ。

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