NVIDIAとIntelは9月18日、同日に発表した「複数世代に渡る製品の共同開発」と「NVIDIAによるIntelへの出資」に関する説明会を開催した。NVIDIAからはジェンスン・フアンCEO、Intelからはリップブー・タンCEOが出席し、発表した取り組みに関する意義をそれぞれの立場から説明した。
冒頭、フアンCEOは「60年前、IBMは初めての汎用(はんよう)コンピュータとして『System/360』を世に送り出した。これは『ムーアの法則』と『CPU』による近代的なコンピューティング時代の幕開けだった」と語った上で、「それは限界に達しつつある。前進を進めるために、NVIDIAは新しい道として『GPU』が加速するコンピューティングを開発した」と、自社の取り組みを語った。
そしてフアンCEOは「今日、次なる大きな一歩を歩み出す。NVIDIAとIntelは先ほど、大きな歴史的なパートナーシップを公表した。データセンターとPC向けに複数世代のx86 CPUを共同開発する。このコラボレーションは強固なもので、Intelのx86 CPUの最適化につながる」とする。
今回の共同開発では、Intelがデータセンター向けに「NVIDIA向けにカスタマイズした(NVLink対応の)x86 CPU」を、PC向けに「RTX GPUチップレットを統合したx86 SoC」を製造することが表明されている。フアンCEOは「世界最良のCPU(=Intelのx86 CPU)とGPU(=NVIDIAのGPU)がPC体験を再定義する」と語り、今回の取り組みがユーザーにもたらすメリットを強調した。
「RTX GPUチップレットを統合したx86 SoC」について、フアンCEOは質疑応答で「世界が見たことのない、新しいクラスの統合グラフィックスを実現する」とアピールした。
フアンCEOから話のバトンを渡されたタンCEOは「新しい時代を作る2社による歴史的なコラボレーションにとても興奮している。これは大きく、そして重要なマイルストーンだ」とした上で、「今回の協業はゲームチェンジの機会となるだろう。そしてNVIDIAが私たちに出資してくれたことを誇りに思うと共に、私たちを信頼して支えてくれることに感謝したい」と、NVIDIAによる出資に謝意を示した。
今回の取り組みでは、NVIDIAがIntelの普通株式を50億ドル(約7370億円)で購入する。購入価格は1株当たり23.28ドル(約3400円)で、単純計算するとNVIDIAはIntelの全株式の約4.6%分を取得することになる。直近のIntelへの出資案件としては、米連邦政府によるものに次ぐ大規模なものだ。NVIDIAは自社でArmアーキテクチャのCPUを設計しているが、今回の取り組みを通してエコシステムが“厚い”x86 CPUという選択肢も手に入れることになる。
タンCEOは「今回の協業はx86 CPUのイノベーションの新時代を解き放つもので、次世代コンピューティングにおける基盤となる」と、x86アーキテクチャのさらなる成長を示唆した。
かつてIntelは、モバイル向け第8世代Core HプロセッサにAMDの「Radeon RX Vega M Graphics」を統合したCPUを販売していた。今回の協業では、Intelのパッケージ技術を使って「RTX GPUチップレットを載せた『x86 RTX SoC』」を作るとのことだ唐突に出てきたように思える今回の協業の話だが、フアンCEOによると協業に関する協議はCPU/GPUのアーキテクチャ設計チームを交えて約1年ほど続けてきたそうだ。
また先述の通り、Intelは米連邦政府からも出資を受けているが、今回の協業/出資についてはトランプ政権は全く関与していないという。
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