「iPhone 17」で共鳴した日本の技術とApple 世界最高峰のカメラを“創る”舞台裏に迫る本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/4 ページ)

» 2025年09月26日 18時30分 公開
[本田雅一ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

Appleが日本(横浜)にR&D拠点を設けるメリットとは?

 今回は代表的なサプライヤー4社から話を聞くことができたが、実際は他にも多数の日本企業がサプライヤーとしてApple製品に携わっている。その中には中小企業も含まれる。

 AppleのYTCは光学分野を中心にさまざまなR&D活動を行っており、数百人の日本人エンジニアが勤務している。中でも「日本語で閉じる開発ループ」を作り上げていることがAppleのカメラの実力を高めているという。

 YTC勤務の日本人エンジニアは、「海外拠点にプレゼンテーションに行かなくとも、日本語で密なコミュニケーションができる上、(コンポーネントの)サンプルを調達して横浜で試作できる」ことや、「(コンポーネント類に)問題点を発見した際のフィードバックを母国語で行えることなど、開発ループが日本国内で閉じている意味は大きい」と、YTCが存在することのメリットを語る。

 日本には、特別な技術を持つ中小企業も多い。彼らとの関係を築けるのは、「日本国内で閉じた初期開発ループ」があるからこそだ。YTCのエンジニアは「(日本で)面白そうな技術があればここで開発して、うまくいったら米国のチームに提案する」という。米国本社からの指示に従うだけではなく、自発的な開発を行っているようだ。

 こうした社内における双方向の技術交流もまた、iPhoneカメラの継続的な進化を支えている。

YTC YTCでは、数百人の日本人エンジニアがR&Dに従事している
YTC 本文でも触れた通り、YTCでのR&D活動は光学分野がメインとなる

 今回、クックCEOは日本を代表するサプライヤー4社のトップと会うためにYTCを訪問した。日本のエンジニアリングカンパニーとの関係性についてクックCEOに尋ねると、「Appleは(品質や使いやすさに対して)決して妥協しません。そして、この姿勢は日本企業にも通じています。決して満足せず、常に次を目指して働いていると感じます」と、日本企業とのパートナーシップを強化している“本質”を表現した。

 この「永遠の不満足」こそが、毎年のように更新される製品サイクルの中で、わずかな改良ではなく、本質的な進化を実現し続ける原動力となっている。日本企業の「改善」の精神と、Appleの「Think Different」の哲学がYTCという場で融合し、新たな価値を生み出している。これはグローバル化の新たな形ともいえる

 コスト削減のための国際分業ではなく、それぞれの国や企業が持つ固有の強みを最大限に生かし、共に高め合うことで単独では不可能な価値を創造する「共創型ものづくり」の形である。

 決して妥協しない――iPhone 17のカメラはこのような企業精神が完璧に組み合わさった結果なのである。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月12日 更新
  1. 6500円でデスクに新風! Thermalrightの小型液晶がヒット、背景にメモリ高騰? (2026年02月09日)
  2. 新ARグラス「XREAL 1S」を試す 解像度と輝度が向上、BOSEサウンドで没入感アップ “3D変換”も大きな魅力 (2026年02月10日)
  3. 元Appleのジョナサン・アイブが手掛けるフェラーリ初EVの内装デザイン公開 物理ボタンとデジタルの融合 (2026年02月10日)
  4. マウス社長が3日間“フル参戦”した理由とは? 大阪・梅田のど真ん中で起きた“eスポーツ×地域振興”の化学反応 (2026年02月11日)
  5. ワコムが安い? 驚きの2025年を振り返り メモリ高騰におびえる2026年の「自作PC冬眠」と「次世代CPU」への期待 (2026年02月12日)
  6. ソニーが「Blu-ray Discレコーダー」の出荷と開発を終了 代替の録画手段はある? (2026年02月09日)
  7. 32GBメモリが6万円切り、2TB SSDは3.3万円から 価格上昇が続くアキバで見つけた高コスパパーツ (2026年02月07日)
  8. ASRock、“CPU起動トラブルを解決”するSocket AM5マザー用のβ版BIOSを公開 (2026年02月10日)
  9. キンタロー。も驚くほぼ「入力ゼロ」の“次世代”確定申告 2026年の弥生は3つのAI活用とデスクトップ製品強化を両輪に (2026年02月12日)
  10. 梅田の街がeスポーツに染まった3日間――「Osaka GeN Scramble」で見えた、地域とデバイスが融合する最新イベントの形 (2026年02月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年