先ほどDP-IN機能と書きましたが、ありていに言えば「液タブとして動作する」機能です。USB Type-Cポートから映像出力ができるPCと接続すると、画面が表示されてタッチとペンも使用可能になります。
ただ、完成度は十分とは言えません。手元の2台のPCで試したところ、いずれもネイティブ解像度を選択できず、黒帯付きでスケーリングのボヤケがある表示になりました。遅延も大きめで、真剣に描く用途には使いづらい様子だったので細かいテストも省略しています。
それでも、ペンとタッチに対応したモバイルディスプレイになるのはなかなかの価値です。今はまだ、強くプッシュしているようにも見えない機能ですが、ちゃんとした液タブレベルになったらと夢を見てしまいますね。
肝心の描き味の面で惜しい点がいくつも残っている本機に対して、MovinkPad 11は、先に書いたような分かりやすい問題もなく、遅延も本機より優秀でした。この世に完璧なモデルはなく、どちらも完璧なモデルではないですが、こと「お絵描きタブレット端末」としては、本機を進んで選ぶ理由はほとんどありません。
とはいえ、それだけではあんまりなので、MovinkPad 11より本機を優先して検討する理由や場合を挙げておきましょう。
これまで書き忘れていましたが、今回の2モデルはいずれも「Widevine L1」に対応していて、商業系の動画サービスを利用しやすくなっています。手元でNetflixアプリを試したところ、(再生開始後1分ぐらい低画質が続く場合があるものの)両モデルとも高画質で再生することができました。
だんだん煩雑になってきたので簡単に書きますが、手元でラクガキを行い、いつもの魔女さんの画像で実作業のチェックもしてあります。
Magic Note PadとMagic Drawing Pad(2025年モデル)共に、ラフや線画を普通にこなすこともでき、彩色もブラシの設定を変えずに薄くも濃くも自在に加減しながら塗ることができ、近年の完成度が高いXPPenの液タブに近い感覚で描画できました。
ただやはり、先に書いたような粗削りな部分を見てしまったがために、影響を受けない設定で描いていたとしても気持ちに雑味が混じってしまいます。Drawing Padでは、特にそういう感覚に見て見ぬふりをしながら手を動かすのは、あまり心地よい体験ではありませんでした。
逆にMagic Note Padは価格が安いことや、そもそもイラスト用途までは強く訴求していないこともあって、「意外と楽しめるな……」という感想になりました。本機のような手軽に活用したいデバイスは、手に取りやすい位置にペンが装着できるのも大きな利点ですね。
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