PC市場は、ボリュームゾーンが普及価格帯とされるミドルレンジ中心とされるのに対し、利益率も高く製品ラインアップでも注目されやすいのがハイエンドだといえる。
近年では、特にゲーミングやクリエイター向けPCの活用に注目が集まったことで、必然的にこの分野へと積極的にPCを投入するメーカーが増加した。「Snapdragon X2 Elite Extremeも当然、この市場をターゲットに……」と思われるが、必ずしもライバルのプロセッサ企業らと同じ道をたどらないのもまたQualcommらしいところだ。
基本的に、製品群は薄型ノートPCや小型デスクトップPCなど、軽量なフォームファクターを志向している。米Qualcomm TechnologiesのCompute部門担当製品管理シニアディレクターのマンダ・デシュパンデ(Mandar Deshpande)氏は、インタビューの中でSnapdragon X2 Eliteのパッケージ構成について次のようにコメントしている。
「今回、SoCのパッケージに192bitのバス幅を持つメモリを封入するMoP(Memory on Package)を採用しているが、このアーキテクチャを選んだ理由の1つはシステムコストだ。
メモリそのものは外部ベンダーから購入することになるため、192bitの選択はそのバランスを取った結果となる。そしてメモリを統合するアーキテクチャを採用した一番の理由は、あらゆるフォームファクターで採用可能なパッケージを開発するためだ。
われわれは薄型軽量PC向けの製品を確実に開発するためのビジョンを掲げており、それをコンパクトにすべく最善の方法がフットプリントの小さいDDRメモリをパッケージに搭載することだった。もちろん外部にメモリを搭載する選択肢もあるが、それでは比較的大きなPCしか選択肢がなく、PCB(Printed Circuit Board)も大型のものになる」(デシュパンデ氏)
なお、Qualcommで公開されている製品スペックシートによれば、Snapdragon X2 EliteのMoPで搭載可能なメモリの最大容量は128GBで、Snapdragon X2 Elite Extremeのみ「128+GB」と128GB以上の容量が示唆されている。
これについてデシュパンデ氏に確認したところ、「顧客の要望があれば128GB以上の容量も選択可能だ。ただし当初は48GBで製品が投入される」という。
この他、ExtremeではないバージョンでMoPではないオンボードDDRをサポートするSnapdragon X2 Eliteのバージョンが存在するという。メモリのバス幅は128bitとなるため、より高性能を求めるのであれば選択肢としては通常のMoP版の方がベターなようだ。
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