オリジナルのWindows 10(バージョン1507)は、Windows 8/8.1で導入されたタッチ操作前提の「Modern UI」の評判があまり良くなかったこともあって、Windows 7までのデスクトップUIのみのスタイルとなった。今では当たり前となった「OneDrive」のOS(エクスプローラー)への統合は、このバージョンから実装されている。
余談だが、最新の2022 Updateと比べると、このバージョンの当時はUIを使ったユーザーへのアピールはほとんどなかった。今では懐かしい。
Windows 10としては初めての機能更新プログラム「November Update(バージョン1511)」では、見た目上は大きな変化がなかった、しかし、パーソナルアシスタント「Cortana(コルタナ)」が日本語対応したことが大きな目玉だった。
Cortanaは2023年秋、AIベースの「Windows Copilot」に置き換えられる形でサービスを終了した。約8年間もの間、サービスを継続したことになる。
法人ユーザーの視点では、このバージョンからWindows Updateを大規模組織向けに拡張した「Windows Update for Business」に対応している。これが登場するまで、企業がWindows Updateの適用可否をコントロールするには「Microsoft System Center Configuration Manager」が必要で、ハードルが非常に高かった。それが簡単になったことは、情報システム担当者にとっては福音だったはずだ。
Windows 10のリリースから1年を“記念”した「Anniversary Update(バージョン1607)」では、スタートメニューのUIデザインが簡略化されたことが特徴だ。以後、スタートメニューのUIはこのバージョンから大きな変化をせずに遷移することになる。
2017年4月11日にリリースされた「Creators Update(バージョン1703)」は、その名の通りクリエイター向けの新機能が複数追加された。例えば、3Dでお絵描きできる「ペイント3D」は、誰でも簡単に3Dオブジェクトを描画できる点は面白かった。ただし、ペイント3Dは3Dデータを作成する“きっかけ作り”という入門的なアプリだ。
法人ユーザーの視点では、モバイルデバイス管理(MDM)のサポート範囲が拡張されたことが大きなポイントだ。Microsoft Officeのクライアントアプリを展開ツールを介してインストールできる「Office CSP(構成サービスプロバイダー)」や、クライアントデバイスの起動ドライブの暗号化を必須化できる「BitLocker CSP」と組み合わせることで、組織内のPCのMDM管理が現実的なレベルに近づいた。
2017年10月17日にリリースされた「Fall Creators Update(バージョン1709)」では、OneDriveのファイル同期で「オンデマンド」機能が追加された。
その名の通り、オンデマンド機能はファイルが必要になった時にダウンロードするというものだ。従来はクラウド(サーバ)にある全てのファイルと同期する必要があり、これがPCのストレージを圧迫するという問題があった。
オンデマンド機能によって、OneDriveをより効率的に使えるようになった。今では当たり前の機能だが、当時は画期的だったのである。
Windows 10 Fall Creators Updateでは、OneDriveにおいて必要な時にファイルをダウンロードするオンデマンド機能が利用できるようになった。「クラウドストレージを使うとPCのストレージを圧迫する」という大きな問題を解消できた2018年4月30日にリリースされた「April 2018 Update(バージョン1803)」だが、筆者としては正直なところ実装された新機能の記憶があまりなかった。「古いバージョンのサポートが終了される前にインストールしておこう」といった感じだった印象だ。
ただ、実際は複数の新機能があった。例えば、タスク切り替えビューが拡張され、過去に操作したアクティビティー(表示していたウィンドウやドキュメントなど)をカード形式で表示できる「タイムライン」はその代表格だ。近くのWindows 10 PCとファイルやURLをやりとりできる「近くで共有」も、本バージョンから実装されている。
また、Bluetooth接続した近くにあるほかのPCとファイルやURLを共有できる「近くの共有」機能もあわせてリリースされた。
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