危機の演出? それとも本当の“焦り”? OpenAI「コード・レッド」の内実:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/6 ページ)

» 2026年01月19日 13時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

「ネイティブファイル」の取り扱いも成熟

 ベンチマークテスト以上に、GPT-5.2が実務に大きなインパクトを与えるのは、ExcelやPowerPointの文書をネイティブに扱えるようになったことだ。ベンチマークが数字なのに対し、こちらは実際のファイルが目の前に生成される。

 一応、GPT-5.1でもこれらのファイルを生成すること自体は可能だったが、レイアウトの粗さや誤りという大きな課題があった。その点、GPT-5.2ではより洗練されたレイアウトで、実用的なコメントを含むより良い文書を直接生成してくれる。

 特に驚きが大きいのは、Excelシートの生成だ。具体的には「VLOOKUP」「XLOOKUP」「ピボットテーブル」「条件付き書式」といったものを含む“完全な”ワークブックを生成してくれる。また、「構成案」からコンテンツ配置、スピーカーノート、視覚的レイアウト提案まで一貫して処理してくれるようになった。

 データ分析を行う場合、従来はCSVファイルを与えると自動的にPythonコードが生成され、その結果をブラウザで表示していたが、今回はExcelシートを生成してくれるようになったので、その先の分析へとつなげやすい。

 プロンプトによる指示に関しても、「GPT-5.2 Thinking」を使えばCSVファイルを提示した上で「先月の売上から利益率を計算し、異常値をハイライトしてレポート化して」と言うだけで、業務で使えるレベルのシートを出力してくれる時代は目の前、といったレベルだ。

 このことは、PowerPointプレゼンテーションの生成でも同様だ。従来は「エージェントモード」において仮想マシン(VM)をAIが操る形でタスクをこなしていたが、GPT-5.2ではVMを別途立ち上げることなく、HTMLなどの中間コードでファイル構造が生成され、それをPowerPoint形式に変換する形で生成するようになった。

出力結果 実は何個か画像として貼ったプレゼンテーションシートは、GPT-5.2に指示をして出力されたものを画像化したもの。皆さんは気付いただろうか……?

 GoogleのGeminiでは、Gemini 3で美麗なプレゼンテーションを生成可能になった。しかし、美しいインフォグラフィックを使ったプレゼンは、文字ではなく画像(グラフィックス)として描き込まれるため、後から修正することが困難だった。しかし、GPT-5.2によって、やっと実用に近いスライドの生成が見え始めている。

 この機能は「Google Workspace」あるいは「Microsoft 365(Office 365)」を置き換えるものではないが、上流工程(構想→初稿)をAIに手伝ってもらえるようになる点でかなり助かる。

 しかし、ここで想定しておくべきは「上流を奪う者は、下流のツール選択すら変える」ことだろう。近い将来、それらのオフィスにおける必須ツールは大きな変化を迎えるかもしれない。

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