危機の演出? それとも本当の“焦り”? OpenAI「コード・レッド」の内実:本田雅一のクロスオーバーデジタル(6/6 ページ)

» 2026年01月19日 13時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5|6       

実用性と安全性のバランスを取り「拒絶」から「協調」へ

 GPT-5.2は、生成AIで発生しがちな「ハルシネーション」に対する安全性でも進化したという。実際に使ってみて感じるのはリクエストの「拒絶」がほとんど出なくなったことだ。

 これまでのGPTでは、安全性の懸念があるとリクエストが拒否(遮断)されてしまい、きちんと答えてくれるプロンプトを書くのに苦労することがあった。少しでもリスクが見えると過剰に拒絶する「Over-refusal(過剰拒否)」と呼ばれる傾向だ。

 その点、GPT-5.2ではリクエストの「Safe Completion(安全な完遂)」を意識しているという。 危険な解答は削る一方で、解答を拒否するのではなく、安全な“代替回答”に誘導することで、安全性から外れる会話を自然に軌道修正するように仕向けている。安全性への懸念があっても会話を止めず、最終的にユーザーの目的を達成することを目指すということだ。

 この方向性は、特にメンタルヘルス領域で有効な手法として取り入れたという。危機的兆候への検知と対応が見直され、共感的で非審判的なトーンを保ちつつ、専門機関への誘導を行う設計へと調整されているのだ。

 また、18歳未満のユーザーには自動的により厳格な保護を適用し、今後は年齢を推定することで追加保護を行う仕組みの試験運用も計画されている。

まとめ

 ここまでGPT-5.2の全体像に触れてきたが、フロンティアモデルはそれぞれが特徴的で、万能なわけではないことも感じられるだろう。

 生成AIの大手企業は、それぞれ異なる得意分野を持っている。

  • OpenAI:推論と業務統合
  • Anthropic:コーディングとツール
  • Google:汎用(はんよう)知識と生成(特に画像)

 また、ベンチマークの勝敗は決して“固定”されない。数週間単位でトップ交代は今後も続くはずだ。

 一方で、OpenAIがGPT-5.2が“突き付けた”メッセージはシンプルで強い。AI競争の評価軸は「学力(IQ)」から「経済的価値(GDP)」へと転換する――この転換点こそが、同社の「コード・レッド」の正体といえる。

前のページへ 1|2|3|4|5|6       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月11日 更新
  1. メモリやSSDが高すぎてPC買えない問題 IntelのラナーデCTOはどう考えている? (2026年10月09日)
  2. 日本HPが個人向け新ノートPCを10月下旬に発売 RTX Spark搭載の「OmniBook Ultra 16 AI PC」と若者の最初の1台を狙う「OmniBook 5 14」 (2026年10月09日)
  3. 5K/75HzとWQHD/300Hzを切り替え! MSIの26.9型ディスプレイが話題に (2026年10月10日)
  4. 日本限定で「ちいかわ」コラボモデルも! Google Play対応の「Amazon キッズ タブレット」が10月14日に発売 選べる2サイズで3万9980円から (2026年10月08日)
  5. 10年ぶりの新モデル! 充電式になっても価格据え置き6600円のラベルライター「P-TOUCH CUBE PT-P320BT」を見てきた (2026年10月09日)
  6. Anthropicが小型AIモデル「Claude Haiku 5.5」を発表/Mistral AIが大規模言語モデル「Mistral Large 4」を公開 (2026年10月11日)
  7. 画面はより明るく、質感も向上したスマートウォッチ「Amazfit Balance 3」は普段使いとしても買いか? (2026年10月08日)
  8. 面倒な窓掃除はお任せ! 5万円切りの超薄型・窓拭きロボ「WINBOT mini 2」を試す マグネットなしで強力吸着、窓枠1mmまで攻める (2026年10月09日)
  9. iPadを縦横自由に設置してタイピングできる脱着式キーボード付きケース「ロジクール Flip Folio iK1185GRA」がセールで18%オフの2万1400円に (2026年10月09日)
  10. サンディスク、外付けポータブルSSDのラインアップを改訂 (2026年10月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー