2025年12月11日(米国太平洋時間)、OpenAIは最新のフロンティアモデル「GPT-5.2」ファミリーを発表した。
もっとも本誌の読者なら、このリリース直前に一部で報道された「OpenAIの社内で『コード・レッド』(緊急事態)が宣言された」という報道の方が、強く印象に残ってしまったという人もいるだろう。
Google DeepMindが開発した「Gemini 3 Pro」が生成AIエージェントのベンチマーク上で存在感を増し、DeeVid AIの「Nanobanana Pro」の画像生成/編集能力は、人々を驚かせた。そしてAnthropicの「Claude Opus 4.5」は、コーディングとツールの実行で“開発現場の力”を積み上げている。
かつての「OpenAI一強」だった空気は確実に揺らいでいる。「追われる側」の焦燥は、ユーザーの体験として伝わり、ネット上で拡散/可視化されていた。
しかし「コード・レッド」という言い方だが、確かにOpenAIの状況を示す危機という面では事実なのだろう。しかし、リリースされたGPT-5.2を試してみると危機を“演出”しているのではないかという思いも浮かぶ。競合の躍進が危機感を生むのは自然だが、一方で“危機”という言葉の流布は、発表のインパクトを増幅する最強のメディア燃料にもなりうるからだ。
「どれだけ賢いか」から「どれだけ稼げるか」へのマインドセットの切り替え――「緊急リリース」と言われるGPT-5.2を見てみると、OpenAIがライバルに「とにかくやり返したい」というだけではなく、「生成AIモデルにおける『勝ち負け』の基準を再構築したい」と思慮していることを強く感じる。
GPT-5.2を「Gemini 3の登場に対抗した『アーキテクチャの刷新』『大規模化』」という文脈で捉えると、このニュースを見誤る。
このリリースの中心テーマは、GPT-5世代が持つ特徴を“商品”として整理して、それを実際に役立つタスクへと繋げやすくしていることにある。特にThinking(推論の深さ)を商品として、より制御しやすくすることで、業務に直結する成果物へ寄せやすくしている。具体的には、以下の「3階建て」構造とすることでテーマの達成を目指している。
この構造は、初期の「GPT-5」で自動的に生成プロセスをルーティングする仕組みが大きな不評を買ったことから導入された。GPT-5.2では、そこに「ファイル生成」「視覚理解」「エージェント実行」という、具体的なタスクの品質に直結する“手触り感”の磨き込みを行動度で実施している。
一方でGPT-5.2では、推論能力の大幅な向上や基本性能の向上なども見られ、アーキテクチャ面の磨き込みも行われているようだ。しかし、それは“刷新”ではなく、あくまでも既存フレームワーク上での性能向上と機能成熟を図ったものだ。
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