Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)に搭載されている専用推論アクセラレーター「Intel AI Engine」は、「第5世代(NPU 5)」ということになっている。先代のCore Ultra 200Vプロセッサに搭載されている「第4世代(NPU 4)」のピーク性能は最大48TOPSだったのに対して、今回のNPU5は微増して最大50TOPSとなった。
今回のデモコーナーにおいて、この新NPUを活用したデモンストレーションとして公開されていたのは、Elgatoの「Prompter」と、その支援アプリ「Elgato Camera Hub」だった。
Elgato Prompterとは、小さなディスプレイ装置の前にハーフミラーを被せたような構造のテレプロンプターで、手持ちのカメラ機器あるいはElgato純正のWebカメラと合体することでいわゆる「プロンプター(原稿表示装置)」として利用できる。ユーザーは画面に映る原稿を見ながら読み上げることで“カメラ目線”を簡単に実現できるというものだ。
この製品は個人ユーザー向けだ。比較的安価なので筆者も所有しており、少し詳しい。従来、Camera HubのAI支援機能はGeForce RTXシリーズを搭載するPC、あるいはApple Siliconを備えるMacでのみ利用できたが、今回お披露目された新バージョンにおいて晴れてIntel AI Engineに対応したとのことである。
Intel AI Engineでは「Voice Sync」と呼ばれる、話者の読み上げに同期して原稿のスクロール速度を調整する機能がサポートされる。話者が発声を止めたり、原稿内容から外れたフリートークを始めたりすると、それを検知して原稿のスクロールを停止してくれる。なかなか賢い。
担当者によると「この機能はNPU側で動作するため、GPU側のMXMに負荷はかからない。つまり、XMXを活用した超解像処理『XeSS(Xe Super Sampling)』のパフォーマンスに影響しない」という。
まあ、ゲーム実況配信者がプロンプターを使ってカメラ目線で原稿を読み上げる状況は少ないと思うので、この例えにリアリティーは感じなかったが、この読み上げ連動スクロール機能自体はビデオ会議でのプレゼンテーションに確かに役に立ちそうである。
会場内には、Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)を搭載した製品や、その周辺機器なども展示されていた。その一部を紹介したいと思う。
Core Ultra 9 386H搭載のAcer製14型ノートPC「Swift Edge 14 AI」は、重さは約990gとなる。ディスプレイは2880×1800ピクセル解像度の有機ELパネルを採用し、タッチパッドでメディア再生コントロールが可能だ
こちらは、Core Ultra 7 355搭載のLenovo製14型ノートPC「Yoga Slim 7i Ultra Aura Edition Gen 11」。重さは約980gだ。Intelとのコラボレーションにより提供されるAura Editionでは「賢いスマートフォン連携機能」「AIベースのプライバシー/セキュリティ機能」「手厚い有人PCサポート」などが付帯する
市場ではまだ珍しい存在のThunderbolt 5(USB4 Version 2.0)対応のドッキングステーション「BlackJet Mini Raiden Pro」は、片方向120Gbps通信にも対応している。CFexpress/SDメモリーカードリーダーに加えてM.2 SSDスロットも搭載しており、4K(3840×2160ピクセル)/144Hzの映像を最大3画面に出力することも可能だ
こちらはSonnettech製のThunderbolt 5対応ドッキングステーション「Echo 13 Thunderbolt 5 SSD DOCK」。2.5Gbps有線LANポートの他、SD/microSDメモリーカードスロットやM.2 SSDスロットを搭載する。最大2台の8K(7680×4320ピクセル)ディスプレイを接続可能だ今回のIntelラウンジでは、Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)搭載PCに任意のゲーム系ベンチマークアプリをインストールして、その結果を計測できるという展示を行っていた。
ということで、筆者は「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」をCore Ultra X9 388H搭載ノートPCと、筆者私物の「ASUS ROG Xbox Ally X」(Ryzen Z2 Extreme搭載)にインストールして、パフォーマンスの違いを比較してみた。
テストの設定は「グラフィックスプリセット:中」「レイトレーシング:中」「フレーム生成なし」とした。結果は、Ryzen Z2 Extreme×Radeon 890Mの結果が「1万767ポイント/平均31.55fps」なのに対して、Core Ultra X9 388H×Arc B390では「1万4725ポイント/平均43.37fps」だった。プレイ可否判定でいうと、Core Ultra X9 388H×Arc B390は一段階上の「快適にプレイできます」となった。
一応、GPUの理論性能(FP32演算時)は以下の通りとなる。
理論性能値的には1.55倍も高いRadeon 890Mを相手に、Arc B390はゲーム系ベンチマークソフトで勝利したことになる。
2026年は、Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)を搭載するポータブルゲーミングPCが出てくるかもしれない。
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