新しいPCの時代を牽引するAI革命そのものが、皮肉にも業界にとって深刻な課題を生み出している。
ITmedia PC USERを含む各種メディアが伝えている通り、PC向けパーツの供給はタイトになりつつある。データセンターにおけるAIインフラ需要が、DRAMやNANDといったメモリの生産能力を構造的に奪い合っているからだ。
IDCがCES 2026の直前に公表した市場見通しでは、「フィジカルAI」や企業でのAI活用がさらに加速することを織り込み、2026年のPC市場が最悪のケースでは8.9%縮小し、平均販売価格(ASP)が6〜8%上昇する可能性を示唆した。
主要半導体の生産能力配分という“構造”に起因して、「AIのパーソナル化」というトレンドを、AIデータセンターへの投資が阻む――業界はこのジレンマに直面している。
事実、「Copilot+ PC」のようにAI機能をローカル実装する前提に立つと、システムメモリは“少なくとも”16GBは必要だ。必要とされているメモリが、容量の面でAIのパーソナル化におけるボトルネックになり得るのだ。
もっとも、この流れはPCメーカーにとっては“既知”であり、大手のメーカーは危機による影響をある程度回避できるだろう。とりわけ調達面で影響力を持つLenovo、HP、Dell Technologiesといったトップメーカーは、AI PCへ大きく舵を切ることで優先的な供給を確保しやすい。
ここで懸念されるのは、ローカルでのAI処理(≒推論)に求められるマシンスペックが上がり続けると、ハードウェアレベルでの「デジタル格差」が固定化しかねない点だ。
企業ユーザーやハイエンドPCを選べるユーザー層なら、ローカルで高度な推論を回して、業務効率を飛躍的に高めることができる。一方で、価格に敏感な層や、調達で不利な小規模PCビルダーは、旧来のスペックに留まらざるを得ない可能性がある。
「賢いAI」を相棒にできるかどうかが、PCのスペックはもとより、所有者の経済力に依存していく未来もちらつく。
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