それでは外観チェックはこれくらいにして、実際にGPUとNVMe SSDを取り付けてDEG2の使い勝手を確認してみた。なお、今回テストした環境は以下の通りだ。テスト用PCには以前紹介したMinisforum MS-02 UltraのUSB4 Version 2.0ポートに接続し、Thunderboltモードで動作させている。
MS-02 UltraへGeForce RTX 5060 TiをThunderbolt接続したところ、一切のトラブルなく認識された。筆者が過去に試したサードパーティー製eGPUボックスでは、セーフモードでのドライバ導入が必要な場面もあっただけに、本機の極めて高い安定性には目を見張るものがある。
正常動作を確認できたところで、最新ドライバをインストールし、各種ベンチマークを通じてMS-02 Ultraのグラフィックス性能がどこまで引き上げられるかを詳しく見ていこう。
まずは、定番の3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark」を用いて、基本的な描画能力を測定した。
計測の結果、モバイルワークステーション級のCPUパワーを持ちながら、内蔵GPU性能がボトルネックとなっていたMS-02 Ultraの課題が見事に解消された。
MS-02 Ultraは本体にPCIe 5.0 x16スロットを備えるが、内蔵電源が350Wに制限されている。高性能なGPUをフル活用するには、電力供給に余裕のあるDEG2のようなeGPU構成が不可欠といえるだろう。
MS-02 Ultraは全体的に非常に満足度の高いPCではあるものの、唯一の弱点であった「グラフィックス拡張の難しさ」を、USB4 Version 2.0接続のDEG2が完璧に補完している。この組み合わせは非常に魅力的だ。
続いて、高い描画負荷で知られる最新作『モンスターハンターワイルズ』のベンチマークを実施した。MS-02 Ultraを含むミニPC単体では動作が厳しい本作において、DEG2の導入は必須条件といえる。解像度はフルHD、フレーム生成を「オン」に設定して検証を行った。
結果はテスト前から火を見るより明らかではあったが、AAAタイトルゲームもeGPUを通して快適にプレイできることが見て取れる。
特筆すべきは、最新の「DLSS 4」による劇的な恩恵だ。外付けゆえの帯域制限により、直挿し時と比較して若干のパフォーマンス低下は見られるものの、ミニPCでこの次世代技術を享受できるメリットは計り知れない。
ゲーム用途にとどまらず、MS-02 Ultraのポテンシャルを生かしたローカルLLM(大規模言語モデル)の実行性能についても検証しておきたい。
今回は一般ユーザーの人でも分かりやすいよう、LM Studioでgpt-oss-20bを読み込み、下記のプロンプトを実行した際の回答生成スピード(token毎秒)を用いて比較してみた。
> あなたは架空の国の首相です。経済成長率が2%で停滞し、失業率が5%に上昇しています。財政赤字も拡大傾向です。経済成長を加速し、失業率を下げ、財政健全化を同時に達成するための政策パッケージを3つ提案し、それぞれの政策がどのように相互作用するか、メリット・デメリットも含めて説明してください。
なお、今回のテストではコンテキスト長はデフォルト設定、GPUオフロードは24に設定している。結果は以下の通りだ。
gpt-oss-20bのようなモデルの快適な動作には単体GPUが不可欠だ。内蔵GPUも健闘しているが、Blackwellアーキテクチャを採用したRTX 5060 Tiは、それを圧倒する驚異的なパフォーマンスをたたき出している。
MS-02 UltraでLLMを常用する場合、本来はワークステーション向けのNVIDIA RTX PRO 2000 Blackwellを内蔵する方が合理的ではある。しかし、一般的なミニPCの拡張として考えるなら、DEG2とRTX 5060 Tiの組み合わせは、極めてバランスの良い選択肢となるだろう。
Thunderbolt 5(USB4 Version 2.0)に対応することで、活用できるPCの選択肢が大幅に増加するDEG2はeGPUドックとして、非常に優秀な製品だといえる。
ただ1点前モデルのDEG1と比較すると、DEG1の定価が税込み1万7999円で購入できることに対し、DEG2の定価は税込み4万4999円と約2.5倍の値を付けている。
単なるeGPUアダプターとして見れば割高に感じるが、有線LANやUSBハブ、そしてデイジーチェーン機能まで考慮すれば、多機能な「Thunderbolt 5ドッキングステーション」として極めて合理的な価格設定といえる。
ミニPCの描画性能に限界を感じつつも、PC本体の買い替えには踏み切れない……そんなユーザーにとって、DEG2は現状を打破する最高の切り札となるはずだ。
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