Windows 10と11のシェアに起きた2月の“異変”と、“Windows 12”フェイクニュースが生まれたワケを読み解くWindowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2026年03月09日 12時00分 公開
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一部で少しだけうわさになったWindows 12の話

 現在では既に否定されているものの、少し前に「OSのコアにAI機能を備えて“AI OS”となった“Windows 12”が2026年にリリースされる」という記事が出回り、ちょっとした騒動になった。

 PCWorldに3月4日(米国時間)に掲載された記事だが、下記の記事まとめにあるように「2026年リリース予定とされるWindows 12」「開発コード名は『Hudson Valley Next』でコアシステムのコンポーネントとしてAIを密に統合」「AI PCやCopilot対応デバイスをターゲットに40TOPSのNPUを必須とし、モジュラー型のCorePCアーキテクチャを採用」「MicrosoftはプレミアムなAI機能にサブスクリプションモデルを提供」といった内容がまとまっている。

PCWorldの記事の冒頭で確認できる“Windows 12”のまとめ

 ただ、本連載でも触れているように、2026年にリリースされるWindows OS――別の言い方をすれば「大型アップデート」は比較的小規模なもので、現行の「24H2」「25H2」と同じ「Germanium」コアを採用し、その延長線上にあるということはほぼ確実になっている。

 そのため、少なくとも2026年にこのような機能に対応したAI専用OSがリリースされることはないし、仮に「40TOPSのNPUを必須」とするOSがあったとしても、それはSnapdragon X2 Elite/Extremeなどの当初からCopilot+ PCの要件を満たす「26H1」を搭載したデバイスでしかない。

 なお、「CoreOS」や「CorePC」などの名称で呼ばれるアーキテクチャは現在のところWindowsの開発途上バージョンでは見かけられない。これもあくまでうわさにとどまっている。

 実際、Windowsの最新事情について一番リーク情報を報じているWindows Centralのザック・ボーデン氏も、自身の記事で「いいかげんで完全に間違えた内容のレポート」と述べ、Redditなどで拡散した情報へのリンクを紹介している(Redditのトピックは、後ほどすぐに削除された模様)。

 その後、PCWorldの当該記事には「Editor's note」という項目が新たに追加され、当該の記事は(提携誌とみられる)PC-Weltというドイツ語の記事を翻訳してそのまま掲載したが、内容的にPCWorld誌の掲載基準を満たすものではなく、その後PC-Weltに連絡して内容の変更を行ったことを追記している。

記事掲載と再編集にあたってPCWorldの記事についた注釈

 後ほど調べた範囲で分かったことだが、元となったドイツ語版の記事の執筆者であるトーマス・ジョース(Thomas Joos)氏は2023〜2024年ごろに出回った中国語や英語を含む複数のうわさ記事から情報をかいつまんで再編集をかけており、内容の真偽や実際の状況について考察もなくまとめた結果、このような内容になったとみられている。

 そのため、2025〜2026年時点では既に過去のうわさや終了済みのプロジェクトが再度掘り返されていたり、実現の可能性も含めて疑問符が浮かぶものになったと考えられる。

 ただ、ジョース氏自身はベテランのライターのようで技術書の執筆ではかなりの実績があり、そうした記事群に紛れてときどき信ぴょう性に乏しい記事を書く傾向があるようだ。Windows 11がリリースされて4年半近くが経過し、うわさが先行しやすい時期ではあるものの、筆者も含めてこういった情報の扱いには注意したい。

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