なぜ元Appleエンジニアは熱意を失い起業したのか? スマートグラス「Even G2」イベントで語られた、次世代機「G3」へのロードマップ(2/4 ページ)

» 2026年07月27日 12時30分 公開
[渡辺まりかITmedia]

 「大のAppleオタクであり、ファンだった」と語るワン氏は、iPhone 4との出会いを通じてハードウェアの可能性に魅了され、Appleへの入社を果たした。

ワン氏 Even Realitiesのワン氏(CEO)

 しかし大企業の中で目にしたのは、期待していた大胆な意思決定や革新的な開発ではなく、極めて慎重な判断や安全策、そして優秀な人材の流出だった。その現実に直面する中で、次第に熱意を失っていったという。

 「投資家の資金はソフトウェア、特に現在はAIスタートアップへ集中し、ハードウェアの進化は停滞している。シリコンバレーでさえ、魅力的なハードウェアを生み出すスタートアップに出会うことは難しくなった。

 そこで2018年、優秀なエンジニアが多く集まる中国・深センに戻り、ハードウェア企業を自ら立ち上げる決意をした」(ワン氏)

 ワン氏は、AppleやSamsungといったハードウェアの巨大テック企業に対峙し、「AI業界におけるOpenAIやAnthropic、あるいは自動車業界におけるテスラのような存在を目指す」と強い意志を示した。

 「私たちのビジョンは、インタフェースの将来的な変化を見据えることから始まった」と、ワン氏はスマートグラス開発の背景について語り始めた。

 「デバイスはPCからモバイル、さらにはスマートフォンやスマートウォッチへと小型化されてきた。しかし小型化に伴い画面サイズが制限され、機能も削られてしまう。結果として、スマホを所有しながらも大画面のiPadを併用せざるを得ないのが現状である。スマートグラスは、極限まで小さくして携帯性を高めた、常に持ち歩ける唯一の常に持ち歩けるデジタルデバイスだ。しかも、(デバイスが小さくともアイウェアという特性上)画面サイズが小さすぎるという制限もない。常に携帯できて自分たちの近くに置けるデバイスになり得る」(ワン氏)

 さらにワン氏は「これこそが次世代のインタフェースになると心から信じている」と強調。「私たちは『次のiPhone』に匹敵する革新を創造している」と強い自信を見せた。

インテリジェンスのためのインタフェース インテリジェンスのためのインタフェースを開発している

 今後のロードマップとして提示されたのは、会話文脈の理解力向上、「Even AI」の性能/メモリの拡張、そして「Even Hub」におけるユーザー体験のさらなる向上という3点だ。

ロードマップ 直近のロードマップ

 ワン氏は「私自身も会話・翻訳の統合機能を重要な会議で活用し、その利便性を実感している。ただし、知能レベルには進化の余地がまだ残されている。個人ナレッジベースとの連携を望む声にも応えるため、今後2〜3カ月以内にアップデートを実施したい」と意欲を示した。

 またアプリストア「Even Hub」に関しても、開発者から寄せられる多種多様なフィードバックや要望に真摯に応えていきたいと述べた。

 同氏は一貫して、ソフトウェアの継続的なアップデートと、既存ユーザーが各種機能を無償で使い続けられる環境の提供を強調した。

一緒に作り上げる 一緒に未来を作り上げたいという会社の方針がよく伝わってきた

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月27日 更新
  1. 鳴り物入りで登場した「Copilotキー」が早くもお蔵入りか──チャットボットからAIエージェントへの移行が示すMicrosoftの誤算 (2026年07月27日)
  2. エアコンがない部屋を冷やせる「Dreemstar 冷風扇」がセールで50%オフの9980円に (2026年07月23日)
  3. 64GBメモリ/2TBストレージ/Ryzen AI Max+ 395搭載のハイエンドミニPC「MINISFORUM MS-S1 MAX」がタイムセールで27%オフの43万2799円に (2026年07月25日)
  4. NVIDIAが次世代AI超解像技術「DLSS 5」の今秋投入を明らかに/MicrosoftとMistralが欧州におけるAI演算能力の拡大で戦略的提携を発表 (2026年07月26日)
  5. 高価なグラフィックスカードを守る「過熱保護ケーブル」に注目! 夏を乗り切るNoctua製簡易水冷も販路拡大で続々入荷 (2026年07月25日)
  6. プラネックス、10GbE接続に対応した5ポート搭載アンマネージドスイッチ (2026年07月24日)
  7. 実売2万円切りで実働10日間のバッテリー駆動! 「Amazfit Bip Max」は初めてのスマートウォッチに最適か (2026年07月24日)
  8. 東レの最新カーボン技術で約999gと長時間バッテリーを両立させた“法人向けLAVIE”が登場 ブランド統一の背景とは (2026年07月23日)
  9. 背中に「インテル、付いてる」ロボットも登場! 40年の実績を持つロボティクス分野で攻勢をかけるワケ (2026年07月24日)
  10. Arm版Windows 11は“普通”に使えるのか? 「FMV UQ-L1」で試して分かった快適さと“鬼門” (2026年07月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー