約10年の時を経て、VAIO Tでフリップヒンジが復活した――これはノジマからの提案だったという。
ノジマは企業買収によって携帯電話の販売代理店やインターネットプロバイダーなどを子会社化してきた実績はあるものの、VAIOの事案は初となる製造業の買収だった。
同社が運営する家電量販店では、メーカー派遣の販売員を一切受け入れず、自社従業員が直接接客する「コンサルティングセールス」を売りとしている(参考リンク)。そこでまずは、ノジマ社内でVAIOに関する知識を有する人材を認定する「VAIOマイスター」制度を開始し、VAIO製PCの販売実績の良い店舗を中心に「VAIO Shop in Shop」を開設するなど、VAIOとの協業を進めていった。
販売面における協業が進んできた中で、次のステップとして話に出てきたのがPCの共同企画だ。
VAIOは商品の企画/製造/開発から販売/サポートまでを一貫してこなす体制が整っている。ここに、ノジマのコンサルティングセールスを担う店舗スタッフなどの声を合わせれば「これまでにない製品を生み出せるはず」と考えたのだ。
そこでノジマが提案してきたのが、フリップヒンジモデルの“復活”だ。ノジマの益田巧氏(M&Cソリューション推進部 情報ソリューショングループ)は、その経緯をこう語る。
VAIOといえば、会場にお越しの方は「VAIO 505」「VAIO C1」、そして「VAIO U1」あたりを思い出すと思いますが、(企画に当たり)私からは(ソニー時代の)後期の“名作”を幾つか挙げさせていただきました。
そして今だからこそ良さが感じられて、(お客さまに)喜ばれるであろうと選んだのが、マルチフリップ機構の復活でした。これはかつてのVAIOに搭載されていた、独自の機構による2in1です。
私が店頭で提案していた実感としては、(お客さまからの)評判がかなり高く、本当に良いモデルでした。お客さまに画面をくるりとひっくり返す体験をしていただくわけですが、そうすると「これはすごい」「これは面白い」という反応をいただいたことは今でも覚えています。満足いただく場面も見てきました。
それだけに、後継機種が途絶えてしまったことをずっと残念に思っていました。ただ振り返ると、世の中的に(VAIO Fit Aシリーズは)「早すぎた商品」だったとも考えます。PCのタッチ操作は今ほど普及しておらず、お客さまの用途(ニーズ)としてもあまりなかったのかなと思います。Windowsの(タッチ操作における)操作性も発展途上でした。
しかし今は、日常でタッチ操作がごく当たり前となり、各メーカーのノートPCも上位モデルではタッチ操作対応が当たり前となり、好評を得ています。時代がこの機構に追いついた今だからこそ、もう一度チャレンジしたいと思ったのです。
ノジマではVAIO Fit AシリーズやVAIO Zのフリップモデルが好評だったものの、その後継機種がなかった――そのことが、フリップスタイルを提案するきっかけになったようだ。
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