会見終盤の質疑応答では、ゴールドラッシュになぞらえ、デルは「ツルハシ」に当たるハードウェアを売る側にとどまるのか、それとも金を掘る側、すなわちAIソリューションを自ら手掛ける側に回るのか、という質問が出た。
ロボトム氏は、AI事業を拡大しない選択肢はないとの姿勢を示した。ただし、インフラとソリューションを二者択一で捉えているわけではない。AIを動かすにはデータが必要であり、その保存やアクセスの設計も欠かせない。オンプレミスとクラウドを組み合わせる場合も、既存環境をどう生かすかが課題となる。同氏は、データ活用とインフラの設計に踏み込んで支援することで、投資対効果(ROI)のハードルを下げていく考えを説明した。
エッジAIへの対応についても質問があった。これに対しては、AI PCも広い意味でのエッジと位置付けるとともに、NVIDIAなどとの協業によるGPU搭載の業種別エッジ製品にも言及した。データセンター、クラウド、エッジを含む構成で顧客を支援する方針だ。
国内で注力する領域として挙げたのは、製造業や半導体関連、そしてスタートアップである。
スタートアップについては、クラウドの利用に加えて、オンプレミスのインフラを直接調達する動きがあると説明した。エージェンティックAIや独自モデルの開発に取り組む企業に対し、インフラ面から支援したい考えだ。スタートアップ全体がクラウドから離れるという話ではなく、用途に応じた選択肢としてオンプレミスにも需要を見ている。
約10年ぶりに戻ったデルで、何が変わり、何が変わらないのかという問いも出た。
変わらない点について、ロボトム氏は「創業者のマイケル・デル氏が今もトップにいること」と冗談めかして答えた上で、「顧客との関係を大切にする企業文化は、今も昔も変わらない」と述べた。一方、大きく進化したのはパートナーとの連携だという。SIerなどとの協業モデルが強化され、パートナーにとっても組みやすい体制になったと評価した。
今回の会見で示されたのは、インフラの供給力を土台に、データの活用設計、人材育成、パートナーとの共同支援までをつなぐ方針である。もっとも、幅広い製品や支援体制をそろえることが、そのまま顧客の収益向上を意味するわけではない。
検証で確認した効果を実際の業務に広げ、売上や利益などの成果につなげられるか。「日本への貢献」を掲げるロボトム新体制の実行力も、そこで問われることになる。
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