手間をかけずにケータイサイトをFlash化――DB連携も可能な「ケータイサーチビューアー」とは(1/2 ページ)

» 2008年07月18日 19時27分 公開
[富山隆太,ITmedia]

 ゲームのための技術、待受画面のための技術――。かつて、ケータイにおけるFlashは、こうした役割が主流だったが、最近ではその状況が変わりつつある。Flash対応端末の普及や、ドコモ/au/ソフトバンクモバイル各社のポータルがFlash化されたことと呼応するように、ケータイサイトのFlash化が進みつつあるのだ。

Photo Flash化された各キャリアのポータルトップ。左からNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル

 ただ、それはあくまでも“徐々に”であり、その理由はいくつか考えられる。1つは、多くの有力サイトが、すでにCMSでHTMLサイトを動的に作るシステムを構築している点だ。CMSは日々稼動しており、毎日の更新で蓄積されたコンテンツは膨大な数に上る。現状のHTMLサイトで何ら不満がないなら、“わざわざ新システムを導入して、膨大なデータベースと連携させてまでFlash化するのは現実的ではない”というわけだ。

 また、「Flashならではの自由度の高いデザイン」も、運営者に二の足を踏ませている。HTMLと異なり、自由な位置にボタンを配置することが可能なFlashサイトだが、デザインの斬新さがHTMLサイトに慣れ親しんだ人にとっては「使いにくい」と映ることもある。“せっかくサイトをFlash化しても、それが使いにくいのでは本末転倒になりかねない”という懸念は、主要キャリアのFlash化されたポータルサイトが、「結局はHTMLサイトの延長線上にあるデザイン」に落ち着いていることからもうかがえる。

 「ならば、HTMLサイトがベストなのか」と問われれば、そうでもない。大型化が進んでいるとはいえ、それでも3インチ前後が主流のケータイ画面で、縦方向にメニューがずらりと並ぶHTMLサイトを見せるのは、ベストな方法ではない。かといって、短いレイアウトのページを大量に作れば、今度は通信速度の問題が浮上し、“読み込み時間待ち”というストレスが生まれる。

 このように考えると、サイトの見せ方としてベストなのは、(1)1度の読み込みで大量の情報を表示できる、(2)使いやすいユーザインタフェース(UI)の2つを兼ね備えたものといえるだろう。まさに、各キャリアのポータルサイトのように――だ。一般のコンテンツプロバイダ(CP)なら、さらに「できるだけ人も予算もかけずに」という注釈がつくかもしれない。

 こうしたコンテンツプロバイダが抱える問題を「解決できる」と話すのが、りーふねっと代表取締役社長の岡丈詞氏だ。同社は2006年末、自社開発したFlash Liteのリアルタイム合成エンジン「Mobile Kompressor」を使ったFlashサイト変換サービス「ケータイサーチビューアー」を発表。当初はFlashサイト化が進んでいなかったこともあり、さほど注目されていなかったが、Flash対応端末が増えてきた2007年に入って、大手コンテンツプロバイダの採用事例が相次いでいる。

 なぜこのサービスが今注目されているのか。その特徴と導入事例について岡氏に聞いた。

データベースへの入力は今まで通り、運営の手間は増やさずサイトをFlash化

Photo りーふねっと 代表取締役社長の岡丈詞氏

 りーふねっとのFlash事業は当初、自社で開発したFlash Liteの自動生成エンジン、Mobile Kompressorを携帯サイトを運営する企業に売り込むことから始まった。しかし、営業に出た岡氏を待ち受けていたのは、クライアントの「何がすごいのかよく分からない」という、とまどいの声だった。

 「このエンジンの利便性を伝えるには、実際にMobile Kompressorを使ってFlashサイトを作り、体験してもらしかない」と考えた岡氏は、市場が伸びているわりにユーザービリティが快適ではなかった「ケータイコマースサイト」に目をつける。

 ケータイコマースの世界では、商品を検索して購入にいたるまでのステップを、小さなケータイの画面上でどれだけ軽快に、スムーズに行えるかが重要だ。「Mobile Kompressorを使ってサイトをFlash化することで、コマースサイトのユーザビリティが向上する」と体感してもらえば、この技術の良さが伝わるのではないか――。こうして生まれたのが、「ケータイサーチビューアー」という新たなサービスだ。

 Mobile kompressorを使ったケータイサーチビューアーの一番の強みは「今、運営しているサイトのデータベースを流用して、リアルタイムに動的なFlashサイトを高速生成できること」だ。多くの公式サイトは何らかのCMSを利用して、コンテンツをデータベース化している。こうした既存のシステムにケータイサーチビューアーを組み込めば、そのデータベースを生かしたまま、動的なFlashサイトを生成できる。簡単にいうと、そのデータベースを動的にHTMLとして書き出すか、Flashとして書き出すかの違いであり、Flash対応したからといって、運営サイドで新たな入力項目が必要になるということはない。

 また、「ケータイのFlashサイトをどう構成すれば見やすく、使いやすくなるか」という、Flash特有のUIとユーザビリティの研究においても、一日の長があるという。同社は、クライアントのニーズに合わせて、1社1社オーダーメイドでデザインやUIを開発する体制が整っている。

 さらにエンジンを自社開発し、直接組み込めるがゆえのレスポンスの速さも、ユーザビリティの向上に一役買っている。「同じようなエンジンを開発している会社もありますが、間違いなく元祖はうちですから」という岡氏の言葉からは、先駆者の自負がうかがえる。なお、サイトをFlash化するとSEO対策が気になるところだが、ケータイサーチビューアーではHTMLも同時に書き出し、そのHTMLファイルを検索で見つけて訪れたユーザーを、Flashページに飛ばす――といった対応を行っている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  7. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年