オートGPS対応で、「iコンシェル」は新たなフェーズへ――ドコモの前田氏神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2009年11月16日 15時44分 公開
[神尾寿,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 詳しくは図版もあわせて見ていただきたいが、このオートGPSを用いたiコンシェルの仕組みでは、「ユーザーの現在地情報」がドコモの管理するサーバーのみで保有される。これによりユーザーは“現在地情報を通知する”ことによるプライバシー上の不安を感じることがなくなり、一方でコンテンツプロバイダはユーザーからの位置情報提供を受けるセキュリティ上の負担やリスクを回避できる。コンテンツプロバイダから見ると、提供するコンテンツに「提供場所」や「提供タイミング」の設定をしておくだけで、適切なユーザーに届けてもらえるのだ。

Photo オートGPS対応iコンシェルの情報配信イメージ

 このiコンシェルの位置情報サービスでは、コンテンツプロバイダ側がかなり細かく配信条件を設定できる。具体的には、配信エリアは半径50メートルから10キロメートルの任意のポイントで設定可能であり、配信時間も24時間から分単位で決められる。また、「マイメニュー登録しているユーザー向け」「特定のトルカを保有しているユーザー向け」「特定のiスケジュールを持っているユーザー向け」といった条件設定も可能だ。

 その反面、現在のiコンシェルでできないのは、リアルタイムでの配信依頼。コンテンツプロバイダからの配信予約は前日までに設定しなければならないので、例えば飲食店で「今日は雨が降ってきたから、今から周辺ユーザーに割引クーポンを配信する」といった使い方はできない。

 「現状ではコンテンツプロバイダがあらかじめコンテンツを用意しておき、ユーザーが設定条件にあうとコンテンツを配信するものとして考えています。しかし、(端末機能のオートGPSと異なり)iコンシェル自体はサーバーサービスですので、今後さらに機能を進化していく予定です」(前田氏)

より高精度なレコメンド情報を提供するために

 オートGPSを用いたiコンシェルサービスは、多くのコンテンツプロバイダが利用できるように解放される。すでにリポート記事でも紹介されたとおり、全日本空輸や日本航空、ぐるなび、楽天トラベル、すかいらーくグループ各チェーン店やNAVITIMEなど、さまざまなコンテンツプロバイダが、この新たなサービスプラットフォームに参加する予定だ。さらにドコモでは、「(オートGPS対応の)iコンシェルをお客様に理解してもらい、その利便性を知ってもらうため」(前田氏)に自らもコンテンツを用意する。その1つが、終電間近になると通知してくれる「終電アラーム」であり、位置情報と連携した「オートGPS気象情報/地震情報」などだ。

Photo 40社弱の企業がオートGPS対応のコンテンツを提供する予定

Photo ドコモも「終電アラーム」や「オートGPS気象情報/地震情報」「駐車場満空情報」などの自社サービスを提供

 そして、もう1つユーザー自身が利用できるサービスとして、「オートGPSリマインド」も用意される。これはユーザーがあらかじめ設定した店やエリアに近づいたときに、マチキャラが通知してくれるというサービス。一種の備忘録的なものだが、“常に位置情報を確認し、設定ポイントに近づくと教えてくれる”というのがポイントだ。

 「オートGPSリマインドは自分で(通知)ポイントを設定することもできますが、コンテンツプロバイダの用意するコンテンツやトルカなどクーポン情報との連携も視野に入れています。例えば、いま計画中のものでは『Gガイドモバイル』との連携などですね。テレビ番組情報と連携して、オートGPSリマインドを設定する、といった使い方を考えています」(前田氏)

 一方、自分でオートGPSリマインドを設定する場合は、携帯電話の設定画面から場所や通知条件などを設定することになるが、「将来的にはMy DoCoMoのサイトを使って、(PCを使って)WebからオートGPSリマインドの設定や、その他のiコンシェルの設定・操作ができる環境を用意したい」(前田氏)という。iコンシェルが便利になればなるほど、設定や操作を大きな画面とマウス・キーボードが使えるWebからしたいというニーズは高くなる。My DoCoMoサイトの活用と連携は、いち早く実現してほしいところだ。

Photo オートGPSリマインドのサービスイメージ

iコンシェルの進化発展は今後も続く

Photo

 iコンシェルがスタートしてから1年。今回のオートGPS対応で、その行動支援の精度はさらに高くなり、コンテンツサービスとして提供できる価値も増大した。今後のiコンシェルは、どのような方向で進化していくのだろうか。

 「iコンシェルそのものの本質的な価値は大きく2つあります。1つは『お客様のデータを預かっていること』、そしてもう1つが預かった情報から『お客様のコンテクスト(文脈)が分かっていること』です。これにより(ユーザー側に能動的なアクションを求めることなく)最適なコンテンツをお客様にマッチングさせることができる。このコンテンツとお客様を結びつける技術として今回のオートGPS対応は大きな進化と言えます。

 その上で、今後のiコンシェルをどうしていくのか、という部分ですが、iコンシェルは生活総合支援サービスのプラットフォームですから、お客様を(iコンシェルのシステム側が)より高精度に理解していかなければなりません。そこで重要なのは、iコンシェルがよりコンシェルジュ的に振るまうために、情報の『インプット』をしていく仕組みを作らなければならない、ということです。ユーザーがiコンシェルに指示や情報を出して、それをもとにiコンシェル側がお客様の趣向や(サービス利用)傾向などを学んでいく。私はこのインプットの部分を強化することで、iコンシェルをさらに発展させていたけると考えています」(前田氏)

 今回、位置情報サービスの要素を取り込んだことで、iコンシェルはモバイルのサービス/ビジネスプラットフォームとして、さらに一歩前へと未来に踏みだした。今のところ「日本だけ」「ドコモだけ」という課題はあるものの、その先進性や革新性はモバイルビジネスのトレンドをリードするものだ。オートGPSによって、iコンシェルがどのように進化・発展していくのか。それはモバイルを通じて、コンテンツやサービスがどのように「リアルと連携し、新たな価値やビジネスを生みだすか」の先行事例になるだろう。期待を持って、今後のiコンシェルに注目していきたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月07日 更新
  1. “Suicaが使えない”クレカ・QR専用改札機に賛否 「問題なく運用できる」「交通系ICの方がスムーズ」 (2026年08月05日)
  2. 元グループ会社が「ドコモの銀行」になった不満を吸収? SBI新生銀行が「SBIの銀行」として最大5.2万円のキャッシュバックキャンペーンを開催 (2026年08月05日)
  3. SNSで多発する「無料であげます」投稿の正体 “お涙ちょうだい”で偽サイトやLINEへ誘導するカラクリ (2026年08月06日)
  4. まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説 (2026年08月06日)
  5. ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視 (2026年08月06日)
  6. Rakuten Linkに「AI通話要約機能」、楽天モバイル契約者は追加料金なしで使える (2026年08月05日)
  7. 工事不要で14畳まで冷房可能「タンスのゲン スポットクーラー 79800020」がタイムセールで10%オフの5万3999円に (2026年08月05日)
  8. スマホの「エアコン冷却」がダメなワケ 猛暑日にやりがちな“水没”の危険性と正しい冷やし方 (2026年08月06日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【8月6日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年08月06日)
  10. 厚さ約1.2mm、“ほぼ、裸”のiPad Pro(M4/M5)向けケース「The Frost Air」発売 ケースフィニットから (2026年08月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー