危険なサイト、ブラウザが非表示に――企業のスマートデバイスをフィルタリングで守る「ビジネスブラウザ」(1/2 ページ)

» 2011年12月14日 13時00分 公開
[日高彰,ITmedia]

 掲示板やブログ、SNSサービスへの不用意な書き込みが引き起こす情報流出や炎上、巧妙な手口で有料サイトに誘導するワンクリック詐欺――。こうしたトラブルはPCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末(スマートデバイス)でも起こりうるものだ。

 個人利用の端末なら自己責任で済まされるが、業務で使う端末では、取引先まで巻き込む大きなトラブルにもなりかねない。そもそも管理者側としては、せっかく業務の効率化を目指して社員に配ったスマートデバイスが、業務に無関係なサイトへのアクセスに使われるのは避けたいところだろう。

 こうしたリスクを、ユーザーの意識の向上に頼るのではなく、閲覧できるサイトを制限することで軽減しようというのが、ネットスターのURLフィルタリングソリューション「ビジネスブラウザ」だ。

 フィルタリングサービスを提供するには、日々増え続ける膨大なWebサイトのURLを収集し、サイトの内容に応じてカテゴリ分類したデータベースを生成する必要がある。この質の高さがサービスの質を左右することになるわけだが、ネットスターはNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルに採用された実績があるなどデータベースの精度の高さは折り紙付き。携帯電話向けサービスで培ったフィルタリング技術を生かしてビジネス用途のフィルタリングソリューションを開発している。

 スマートデバイス時代に求められるセキュリティ対策と、同社が提供するビジネスブラウザの特徴について、ネットスター 常務取締役の中山明氏と、営業部 営業1課 課長の竹花裕樹氏に聞いた。

Photo ネットスター 常務取締役の中山明氏(画面=左)と営業部 営業1課 課長の竹花裕樹氏(画面=右)

企業のフィルタリング需要に2つのパターン

 スマートデバイスは企業の生産性を高めるのに役立つツールとして注目を集めており、とりわけiPadを初めとするタブレット端末に対する期待は大きい。経営幹部が新たな情報ツールに敏感な会社では、トップダウンで急に導入が決まることも少なくないという。

 しかしここで問題となるのが、タブレット端末については情報セキュリティ対策の最適な解が見つかっていない点だ。「(情報システム部門はトップから)『iPadのセキュリティも、ちゃんとやってくれよ』といわれるわけですが、“ちゃんと”とは何かを定義するのも難しい」(ネットスター常務取締役・中山明氏)。こうした状況を背景に、すぐ導入できるセキュリティ対策として、同社のフィルタリングソリューションに対する問い合わせが増えているのだという。

 ネットスター営業部の竹花裕樹氏によると、フィルタリングに対する需要は大きくわけて2つあるという。1つは、タブレット端末を特定の業務に特化した形で活用する企業のニーズで、“業務に関するサイト以外は全く見せないようにする”というものだ。例えば、保険や金融の業界では、販売スタッフが顧客と対面して商品の説明をする際、タブレット端末で商品の資料を見せたり、契約内容のシミュレーションをしたりといった使い方が増えている。このような用途では、広くいろいろなWebサイトを見せる必要はないため、自社やパートナー企業のサイトのみアクセスできる環境が望ましい。在庫管理や受発注にiPadを使うといった業種でも同様だ。

 もう1つは、外回りの営業スタッフがプレゼンテーションや情報収集、コミュニケーションの円滑化のために、タブレット端末を活用するケースだ。この場合、過度にアクセスを制限してしまうと、せっかくのモバイル機器の利便性が損なわれ、“持たせてはみたものの、全然使ってくれない”という事態につながりかねない。この場合は、“明らかに業務と無関係なアダルトサイトや、トラブルやシステム障害につながる可能性のあるフィッシングサイト、悪意のあるコードを含むサイトなどは排除するが、それ以外のサイトへのアクセスは基本的に制限しない”というポリシーで運用するのが一般的だ。もう少し厳しいポリシーにする場合は、掲示板やSNSなど、情報の書き込みが行えるサイトへのアクセスを制限することが多いという。

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