今やショップの店頭は、スマートフォン一色だ。通信キャリアの新モデルもスマートフォンのほうが多くなり、購入時のサポートも手厚くなっている。
こうした中、「2012年は“一般ユーザーのスマホ元年”になる」と予測するのが、コンテンツプロバイダ大手エムティーアイでPackage Solution事業部長を務める小畑陽一氏。フィーチャーフォンと同じ感覚でスマートフォンを使う層が増えるため、コンテンツのスマートフォン対応には配慮が必要になると話す。
同氏に、これからのコンテンツのスマートフォン対応で押さえておきたいポイントと、同社が提供しているスマートフォン向けサイト変換ソリューションの特徴について聞いた。
―― Android端末のラインアップが出そろい、フィーチャーフォンからの移行が進み始めた2011年は「スマートフォン元年」といわれています。2012年のトレンドをどのように見ていますか。
小畑陽一氏(以下、小畑氏) 2012年は“一般ユーザーのスマホ元年”になると思っています。スマートフォンの契約数は二千数百万規模に達したといわれており、数字の上でもマジョリティ(多数派)に浸透し始めたといえるでしょう。
最近では、フィーチャーフォンを買いに行っても勧められるのはスマートフォンですし、価格もスマートフォンのほうが安くなっています。つまり、これからの乗り換えユーザーは、“スマホが欲しいから買う”というのではなく、“フィーチャーフォンの代替として買う”というパターンが増えると思います。
こうした新しいユーザー層はこれまでのユーザー層と異なり、ITに関する知識が少ない人も多いわけです。これからのスマートフォンでは、そういう方々にとっても使いやすいサービスを提供しなければならないでしょう。
―― マジョリティ層にとっての“使いやすさ”とはどのようなものなのでしょうか。
小畑氏 例えば携帯電話のWebサイトを例に挙げると、“小さい画面の中で、いかに使いやすくするか”を考えた上で考え抜かれた仕様があり、これが携帯電話からのサイト閲覧を快適なものにしています。
リンクのテキスト1つとっても、PCのように長いテキストは表示しきれないので、それをいかにキャッチーな短いフレーズにするか、洗練された見え方にするのか――といった工夫をしてきたわけです。そして、ユーザーの方々も、それに慣れている。この10年以上かけて培ってきたノウハウをしっかりと生かして、マジョリティ層にコンテンツを配信するのは重要だと思っています。
―― “マジョリティ層にとっての使いやすさ”を考える上で重要なポイントは。
小畑氏 アーリーアダプター層のスマートフォンユーザーは、分からないことがあったら、自分で調べて処理する人たちです。でも、これから増えてくる普通の人たちは、受けたものに対してそのまま反応するので、一度“使いづらい”“使えない”と思ったら、対策を考えるより離れてしまう可能性が高いのです。そこは注意しておく必要があるでしょう。
もう1つは、スマートフォンを“小型のPC”と考えるのではなく、“フィーチャーフォンの進化系”と考えることです。これまでフィーチャーフォンでサイトを閲覧してきた人に、いきなり“PCサイトをそのまま閲覧できる”という文化を持ち込んでも、使いづらくなるばかりです。
フィーチャーフォンで使い慣れたUIに、プラスアルファでスマホならではのデザインや使いやすさ、フリックのしやすさなどを盛り込むのがいいと思っています。
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