スマートフォン向けのOSとしては、Linuxベースで開発されているGoogleの「Android」や、SamsungとIntelの共同プロジェクトである「Tizen」が有名だが、ここにニューカマーが登場した。英Canonicalがリリースする「Ubuntu for Phones」(Ubuntu Phone)だ。
Ubuntu(ウブンツ)はLinux OSのディストリビューションとしては後発ながら、快適なUIで人気を博しており、これを携帯OSの世界に持ち込んだのがUbuntu Phoneとなる。現在はまだOSのみの状態で、パートナーとなるハードウェア製造メーカーや携帯キャリアと交渉を続けている状態だが、iOSやAndroidデバイスばかりの世の中に飽き飽きしているユーザーらに新しい感動を届ける存在になるかもしれない。今回、CES 2013で併設されているDigital ExpericeでこのUbuntu Phoneをいち早く見つけることができたので、デモ動画と合わせてお楽しみいただきたい。
CanonicalがUbuntu Phoneをリリースした際、従来のスマートフォンの多くがそうであったようなハイエンド市場のほか、新興国や低所得層などに向けたローエンドなデバイス市場もターゲットにしていることが説明された。Ubuntuのサイト)、ローエンドとはいっても1GHzのシングルコアARMプロセッサと、一昔前のハイエンドスマートフォンのスペック相当だが、こうしたデバイスでも軽快に動作するパフォーマンス面の優位性が、競合製品との差別化ポイントだという。またUbuntu Phoneはユーザーインタフェースに大きな特徴があり、上下左右と画面の四端から指を中央に向けてスライドすることで、それぞれに異なるシステムメニューを呼び出し、素早くアプリや画面の切り替え、設定メニューの呼び出しなどが可能となっている。
長く文章で説明するより画面や動画で実際の様子を確認してもらったほうが早いだろう。Ubuntuブースでは同社創業者のマーク・シャトルワース(Mark Shuttleworth)氏自らが実演デモを行っており、ユーザーインタフェースの出来には相当の自信を持っていることがうかがえる。まずは一連の操作を見てみてほしい。
CanonicalはあくまでUbuntu Phoneのライセンサーであり、実際にハードウェアを開発してOSを組み込み、販売を行っていくのはメーカーや携帯キャリアの役目だ。シャトルワース氏によれば、Ubuntu Phoneの発表以後に多くの問い合わせが届いているなど、周囲の関心が高いことを示唆しつつ、現在はパートナーとの交渉を進めている段階だと話した。そのようにして2013年内にも実際のUbuntu Phoneを搭載した製品をリリースできればとの意向だ。デモで利用されていたのはAndroidスマートフォンのGalaxy Nexusのハードウェアで、ここにUbuntu PhoneのROMの書き込んで利用している。
同氏に日本でのリリースの可能性について聞いてみると、交渉の詳細については明かしてもらえなかったが、同氏自身は日本市場にも注目しており、日本語対応も可能だとの説明だった。もともとUbuntu PhoneはPCデスクトップOSのUbuntuと同じOS環境を利用しており、Ubuntuでサポートされている言語環境はそのままUbuntu Phoneでも利用できるようになっているという。多少の調整等が必要な可能性はあるが、日本語利用も問題なく可能だというのが同氏の見解だ。日本ではNTTドコモがTizen端末のリリースを今春計画しているという噂が流れるなど、スマートフォンOS市場での2強だけにはとらわれない動きを見せている。日本語対応と合わせ、同端末を日本に持ち込むキャリアの出現に期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.