ソフトバンクがSprint買収で見込む3つのシナジー

» 2013年01月31日 21時04分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 ソフトバンクの孫正義社長が、1月31日に行われた決算会見で、2013年度半ばに買収を完了する予定の米Sprint Nextelについて言及した。

 同氏はSprintの買収により、「3つのシナジー」が期待できると説明。1つ目のシナジーとして、スマートフォンの調達力の向上を挙げた。両社の販売台数を合算すると「ドコモの2倍、auの4倍近くスマートフォンを1年間に買うことになる」と孫社長は話し、「望む周波数、チップ、金額、コンテンツのプリインストールといった交渉力が一気に高まる」と続けた。また、グローバルに売りやすいスマートフォンが端末販売の主流になっていることも、シナジーが見込める背景としてあるとした。


photo ソフトバンクとSprintのスマートフォン年間販売台数を合算すると2170万台(2011年度実績)で、国内では最多の販売台数に(画像:決算プレゼンテーション資料より抜粋)

 孫社長は、これまで日本ではNTTドコモの要求に合わせてメーカーが端末を開発する流れが続いてきたと振り返る。端末の調達台数を増やして交渉力を高めることで、端末開発や販売が従来より有利に進められることに期待する。またSprintについても、米大手のVerizon WirelessやAT&Tの調達台数に迫ることで、競争力が増すとの考えを示した。

 2つ目のシナジーは、ネットワーク機器調達力の向上。同社によれば、両社のモバイル向け設備投資の合算額は中China Mobileに続く世界第2位の規模になるという。端末調達と同様に機器メーカーへの交渉力が増し、望む機能や価格を実現しやすくなるとした。


photo ネットワーク機器も、スケールメリットを生かした調達を目指す(画像:決算プレゼンテーション資料より抜粋)

 そして、「最も大切なシナジー」として孫社長が紹介したのが、「ソフトバンクのV字回復のノウハウ」だ。ボーダフォンの買収後の業績のV字回復や、グループ企業となったウィルコムの契約数が増加に転じていることなどを挙げ、こうしたノウハウをSprintにも適用し、同社の利益率を高めていくとした。


photo 孫社長は会見で、SprintのEBITDAマージンを今後何年かで30%程度にまで上昇させるとコメントした(画像:決算プレゼンテーション資料より抜粋)

 両社は現在、週に1回のペースで「シナジーミーティング」を行っていると孫社長。買収が完了していないため「指示命令はしていない」が、「互いが学び合う」ことを目的に経営陣らによるテレビ会議を続けているという。月に2回は対面での会議も行うなど頻繁に交流していることを孫社長は説明し、“ソフトバンク流経営”の実践準備が進んでいることをアピールした。

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