5分で分かる、先週のモバイル事情――4月25日〜5月7日
3.9Gのモバイルシステム導入を目指し、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルが免許を申請した。ドコモの決算は減収増益、ソフトバンクの営業利益は過去最高を更新。KDDIは同社初となるスマートフォン「E30HT」を市場に投入した。
3.9Gの免許、4キャリアが申請
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの4キャリアが総務省に、3.9Gの免許を申請した。
3.9Gの移動通信システムについては、日本で携帯電話事業を展開するドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルが、LTEの採用を明らかにしている。申請した周波数帯は、KDDIとソフトバンクモバイルが1.5GHz帯、イー・モバイルが1.7GHzで、ドコモは非公表。通信方式については4キャリアともLTEとしており、ソフトバンクモバイルはHSPA+とDC-HSDPA、イー・モバイルはDC-HSDPAも利用する。
NTTドコモの2009年3月期決算は減収増益
NTTドコモは4月28日、2009年3月期の決算を発表した。売上高は4兆4480億円、営業利益は8310億円で、大きな利益を出したが、前年同期比では減収増益となった。
決算の概況を説明したNTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏は、新ドコモ宣言で顧客満足度向上を至上命題とする戦略に舵を切った1年を、「(2008年度に手がけた)“変革とチャレンジ”の手応えを感じた年であり、事業運営はおおむね順調であった」と振り返り、2009年は「中期ビジョンの実現に向けた“弾込め”の時期」と説明。顧客満足度のさらなる向上と、中期ビジョンの実現に向けて“着実なステップを踏む年”と位置付け、具体的には(1)顧客満足度のさらなる向上(2)携帯電話の利用拡大に向けたさらなる取り組み(3)新たな収益源の創出(4)コスト効率化(5)CRSの5つを軸とした戦略で、“2010年の顧客満足度NO.1獲得と2012年の営業利益9000億円”をうたう中期ビジョンの実現を目指すとした。
顧客満足度の向上については、上り最大5.7MbpsのHSUPA、定額料金の下限を490円に値下げするなどの料金サービス改訂、「ケータイてんけん」の提供、iコンシェルのさらなるパーソナル化、海外サポートデスクの設置などの施策を順次行う。
営業利益は過去最高――ソフトバンク決算
ソフトバンクは4月30日、2009年3月期の連結決算を発表した。売上高は2兆6730億円と前年同期比で約3.7%減少したが、営業利益は3591億円と4期連続で創業以来最高益を記録し、前年同期比11%増となった。
会見を行った社長の孫正義氏は冒頭で、「ボーダフォンジャパンを買収して以来、モバイルインターネットの世界が着実に前に進んでいる。そして今回、借金を返せる日を明確に示せるときが来た」と、2兆円近い買収費用の返済のめどが立ったことを明らかにした。
同社の売り上げの過半数を占める移動体通信部門(主にソフトバンクモバイル)の売上高は、1兆5547億円。前年同期比では微減となるが、減ったのは端末販売などにともなう売上高で、通信料売り上げは増収となった。
ソフトバンクモバイルの通信料収入は、2007年3月期、2008年3月期はともに対前年度比でマイナスだったが、2009年3月期は前年比でプラスになり、増収基調に転じた。通信料収入は、NTTドコモが−7.8%、KDDIもー1.8%と下落が続いているが、ソフトバンクは1.4%増と「唯一V字回復した」(孫氏)と胸を張った。
au初のスマートフォン「E30HT」、店頭に並ぶ
KDDIが5月1日から、同社初のスマートフォン「E30HT」の販売を開始した。同社の法人チャネルに加え、auショップをはじめとするau携帯取扱店でも取り扱う。
HTC製のE30HTは、KDDIがauブランドのスマートフォンとして投入するWindows Mobile端末。スライド型のQWERTYキーを装備し、2.8インチのVGAディスプレイはタッチ操作に対応。通信方式は下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbpsでのデータ通信が可能なEV-DO Rev.Aを採用している。
ビジネス向けのアプリとして、E30HTをモバイルルータとして活用できる「WALKINGHOTSPOT」、ケータイカメラで撮影したビジネス文書をサーバに保存し、他ユーザーと共有したりFAXやメールで送信できる「ScanR」がプリセットされ、2009年夏に提供予定の「スマートフォンリモートデータ削除サービス」にも対応。KDDIは端末の発売に合わせて、ビジネスアプリのポータルサイト「Business App NAVI」をオープンする。
都内量販店の価格は、シンプルコースの一括払いが3万6000円、24回払いが月々2055円、フルサポートコースが2万5500円となっている(2009年5月1日時点での編集部調べ)。
なおKDDIは、シャープ製の法人向け端末「E05SH」を4月28日に発売。同社の法人部門経由のほか、auショップでの販売も予定しているという。
E-05SHはボディカラーにブラックとシルバーを用意。SDIOスロットを備え、専用の構内PHSカードや無線LANカードを装着できる。グローバルパスポート CDMAに対応し、CDMA圏の海外でも利用できる
E05SHは、IPX5/IPX7に準拠した防水機能を備え、衝撃から本体を保護するプロテクターを装備したストレート型の法人向け端末。SDIO拡張スロットには、2009年夏発売予定のネットインデックス製構内PHSカードやミツミ電機製の無線LANカードを装着でき、KDDIの内線ソリューション「OFFICE FREEDOM」用端末として利用できる。
セキュリティ機能も充実しており、指紋認証ユニットに加え、一定時間が経過すると自動でロックがかかる「再ロック」機能、紛失時に遠隔操作でオートロックをかけられる「遠隔オートロック」機能、遠隔操作で端末内メモリを消去できる「遠隔データ消去」機能を搭載した。
管理機能については、管理者のPCから利用者の端末に対して、EZwebやPCサイトビューアーなどの利用制限をかけられる機能を用意。E05SHにはカメラや赤外線、Bluetooth、外部メモリ、外部接続などの制限をかけられる。
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シャープは厳しい決算、携帯販売が前年比で3割強減少
シャープが4月27日、2009年3月期の決算を発表した。売上高は2兆8472億2700万円で前年同期比16.7%の減少。営業損失を554億8100万円計上する厳しい内容となった。
携帯電話・通信融合端末の2009年3月期の販売台数は前年比65.4%と大きく減らし、992万台に。このうち、国内市場の販売台数は約830万台で、海外は約160万台だった。売上高は前年比67.2%の4373億円にとどまった。国内の携帯電話端末販売数は、MM総研によると前年比で29.3%減の3589万台で、2000年の調査開始以来最低水準となっており、買い換えサイクルの長期化とキャリアの在庫調整によって、シェアトップのシャープが大きく影響を受けた格好だ。
シャープ代表取締役 副社長 執行役員の濱野稔重氏 2010年3月期の端末販売台数は1230万台を予想するが、国内はほぼ同数の約830万台を予想している。決算発表の席で、シャープ代表取締役 副社長 執行役員の濱野稔重氏は「国内の携帯電話販売は、シャープらしい特徴商品がなかなか出せず後れを取ったと感じている。だが夏にauから発売するソーラーパネルケータイなど、新しいことにも取り組んでいる」と話し、今後も高機能な特徴商品に注力する考えを改めて表明した。
複数の連絡手段が使える一斉同報サービス――ドコモが法人向けASP開発
NTTドコモは5月8日、複数の連絡手段を用いて広域・多拠点間に情報を配信するASPサービス「一斉同報サービス(仮称)」の開発を表明した。2010年4月の商用化を目指しており、防災用など緊急時の通信手段を必要とする官公庁や自治体、日常業務でグループ通話などの同報機能を必要とする法人向けに提供される。
一斉同報サービス(仮称)は、従来のグループ通話サービスでは実現できなかった広範囲で多拠点への連絡や情報共有を迅速に行うシステム。音声、FAX、メールといった複数の手段を使い、官公庁や自治体などの公共機関だけでなく、金融機関や流通業など、拠点が全国にある法人に対し、信頼性の高い同報サービスとして訴求する。
ケータイとカーナビを連携――KDDIのEZカーナビリンク
KDDIは4月27日、au携帯電話で検索したレストランや観光施設などのスポット情報をカーナビゲーションシステムに転送して、目的地に設定できるサービス「EZカーナビリンク」を、5月7日から開始すると発表した。無料で利用できる。
EZカーナビリンクは、KDDI、トヨタ自動車、ナビタイムジャパンが共同開発した情報連携プラットフォームを利用したサービス。「EZナビウォーク」や「EZ助手席ナビ」「au one 地図」で検索した位置情報を、専用アプリを介してカーナビにBluetoothで転送するもの。GPSの緯度経度情報のほか、スポットの名前、住所、電話番号などを送信することで、カーナビ側で目的地として設定できる。
同様の通信規格はシャープとパイオニアも発表しており、幅広い機器への採用を目指して、規格の普及活動を幅広く推進するとしている。
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