非化石価値取引制度においては、非化石証書の売り手のうち、旧一般電気事業者であった発電事業者および電源開発については、外部への証書販売収入がある場合、証書販売収入の使途について、資源エネルギー庁に報告することを求めている。
2022年度は、証書取引量のうち相対取引の比率が非常に高かったことは先述のとおりであるが、金額(収入)の面でもそれが裏付けられている。他方、2022年度後半は証書価格が上限値となったにも関わらず、第1フェーズの間は、総額で250〜300億円程度と、大きな変動は見られない。
非化石証書収入の使途の内訳として、拡充・改良については、主に水力発電所の大型改修(リプレース)や地熱発電所の新規調査、原子力発電所の安全対策工事などがあった。また修繕については、主に水力発電所の堆砂処理作業や堰堤修繕等などがあった。
非化石証書販売収入の使途については、資源エネルギー庁への報告の他にも、自社のWebサイトへの掲載等により、広く小売電気事業者がアクセス可能なかたちで、公表することも求められている。
図4の北陸電力の場合、非化石電源の工事総額334億円のうち、非化石証書の販売収入14億円が充当されたことが公表されている。
非化石価値取引制度は、グランドファザリングを設けるなど独自の手法で事業者間の公平性を確保するよう措置しているため、電力卸取引における内外無差別の取組とは平仄が合っていない状態である。
監視等委員会では今後、非化石証書取引における発電・小売間の情報遮断の徹底や、内部取引価格の設定に係る制度面での対応も検討する予定としている。
国内の再エネ導入・コストの最新状況、電源別に見る今後のFIT/FIP制度設計の論点
FIT/FIPの認定要件となる「説明会」と、違反時の交付金停止措置の方針が明らかに
日本版「同時市場」導入に向けた重要論点、「調整力」の定義を見直しへCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10