脱炭素投資への予見性を確保し、先行投資インセンティブを高める観点から、上下限価格は2027年度以降も段階的に引き上げていき、これをあらかじめ公表することが重要である。
また先行投資を促すためには、上下限価格の上昇率は、企業の設備投資における割引率や物価上昇率の見通しを超える水準とすることが重要である。
法人企業統計における業種毎の自己資本比率や足下の金利等から計算されるエネルギー・素材系企業の割引率は、名目2〜5%(実質1%〜3%)程度と見積もられることから、実質価格上昇率を「3%」としたうえで、毎年度の物価上昇率の見通しを加算した値を価格上昇率とすることとした。
価格上昇率を更に高水準に設定すれば、先行投資インセンティブは高まるが、社会情勢の突発的な変動による価格高騰等による負担を十分抑制できないおそれもあるため、制度開始当初は必要十分な水準に留めることとした。
以上を踏まえた2026年度から2030年度の上下限価格の見通しは図7の通りである(実質価格上昇率3%のみを反映)。
この上下限価格(第2フェーズの実質的な価格帯)を諸外国の排出量取引制度における排出枠価格と比較したものが図8である。中国と韓国では上下限価格の設定はないが、バンキング制限等による価格安定化措置が講じられている。
日本の排出量取引制度では、まずは国内外の貿易市場で競合する中国・韓国の排出枠価格を強く意識した価格設定が行われたと言える。
他方、ニュージーランドでは上下限価格(2026年)は約6,000円〜約21,000円、米国カリフォルニア州では約4,300円〜約15,000円であり、その後の価格上昇率も大きく設定されている。
将来的には日本の排出量取引制度においても、カーボンニュートラル達成に向けて必要となる革新的技術の限界削減費用を考慮した価格水準の設定が求められる。
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