NEDOモデルとアンケートのコスト差異の要因の一つは、もちろん近年のインフレ等であるが、NEDOモデルでは表5の費用項目が考慮されていないことが指摘されており、これら3つの費用項目の合計額は約4円/kWhとなる。
また、モデルプラントでは代表的な前提条件を置いてコスト試算を行うが、実際には海域により、地盤や風況等は大きく異なる。海域ごとの違いによるコスト変動の要因とその影響度を試算したものが表6であり、a〜eの6項目の合計では約21円/kWhにも上るコスト変動が生じ得ることが示されている。
JWPAでは、複数のコスト低減策を進めることにより、洋上風力の発電コストを現状の22.4円/kWhから、2045年時点では少なくとも約13.4円/kWhへ低減できると宣言している。
発電コスト低減策の一つは、設備利用率の向上である。第2・3ラウンドでは設備利用率は36.6%と想定しているが、これを2045年までに41%へと向上させることにより、約2.6円/kWhの低減効果が期待される。
そして最大の発電コスト低減策は、「学習効果」を通じたCAPEX/OPEXの低減であり、JWPAでは2045年までに約6.4円/kWhの低減効果を見込んでいる(22.4円−2.6円−6.4円=13.4円/kWh)。
学習効果とは、「A:量産化による原単位低減や経験積み増しによる能率向上」、「B:技術開発」、「C:人材育成・確保」をまとめた効果である(表7の要素に対応)。
欧州では、洋上風力の累積導入量(運転開始)が2倍になるごとに10%の割合(学習率)でCAPEX/OPEXが低減しており、JWPAでは日本でも同様の効果が見込まれると報告している。
2040年に着床式30GWの案件形成を前提とすると、現時点で90万円/kW・1.23万円/kW/年のCAPEX・OPEXが、学習効果により、2045年には60万円/kW・0.81万円/kW/年へと約34%の低減が見込まれる。
2045年はやや遠い将来の話であるため、JWPAでは2030年代初頭での累積導入量が2倍になる最初のタイミングで、CAPEX/OPEXの10%低減が現実的であることを確認し、報告している。
洋上風力関連の企業各社では、サプライチェーンの形成に向けて、すでに数百億円〜1,000億円超規模の投資を進めている。今後も官民共同で、洋上風力の市場創出と産業競争力の強化、コスト低減の好循環が進むことが期待される。
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