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» 2010年01月07日 11時45分 UPDATE

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:海外を見習え(オーストラリア編)――2週間に1度の給料日

映画「シンデレラマン」を見て、オーストラリア留学当時のアルバイト生活を思い出した。オーストラリアでは給料が2週間ごとに支払われたため、計画的に貯金し、中古車を購入できた。

[樋口健夫,Business Media 誠]

 映画「シンデレラマン」をご覧になったことはあるだろうか。大恐慌の時代に、ボクサーである主人公(ラッセル・クロウ)が、肉体労働のアルバイトをして家族を必死で守りながら、チャンピオンという栄光に輝くという物語だ。わたしはこの何度もこの映画を見て涙した。

 主人公がアルバイトで稼いだ日給やボクシングのファイトマネーを、彼の家族は首を長くして待っている。これを見ていて、ふと学生時代のオーストラリア留学を思い出した。

 当時、留学の資金も旅費もなかったので、京都の青年会議所にスポンサーを紹介してもらった。飛行機代もなく、大阪の船会社を回って、オーストラリアに向かう貨物船、鉄鉱運搬船、石炭運搬船などに乗せてもらえるように交渉して回った。ようやくある石炭運搬船に乗船の許可をもらった。シドニーに着き、スポンサーの家に下宿した。数週間後近くのデパートの食料品売り場の荷物搬入の仕事を紹介してもらい、働き始めた。

 仕事内容は重たい台車を引き、商品を棚に並べるというもの。売り場が広いので、自分を含めて数人が、1日中この仕事をしていた。1週間たって、体のさまざまなところに筋肉が付いてきたことが分かった。わたしの人生で、筋トレの効果を感じた唯一の体験である。数カ月後おもちゃ売り場に移り、そこで出会った客に引き抜かれて商社で働くことになるのだが。

 荷物搬入のアルバイトで印象に残っているのは、給料が2週間ごとに支払われたことだ。2週間ごとの木曜日に給料が支払われていた。やはり給料日はワクワクするものだ。それが月に2回、3回もあり、とてもうれしかった。

 若い労働者や比較的低賃金の労働者にとって、月給よりも2週間に一度給料をもらう方が良いと思った。オーストラリアでは、1週間や2週間に1度の給料支払いが一般的だという。1カ月はおよそ30日だから、2週間分の給料だと月給の半分以下の額になるが、下宿代や大学の授業料の積立、毎日の生活費を、細かく割り当ててきちんと計画できやすい。1カ月分の給料を一度に受け取ると金額が大きいので、給料日の直後はごちそうを食べたり、飲みに出かけたり、ついまとまった買い物をしてしまいがちだ。

 わたしの場合、2週間給の制度は絶大の効果を持っていた。当時は現金で給料が支払われた。小さな茶色の給料封筒に、現金と細長い給料明細の紙切れが入っていた。下宿代や、大学の授業料充当分を差し引いても、貯金ができて1年ほどで中古車を購入できた。現金を受け取って、その都度銀行に預けに行っていたが、実はその行為自体が貯金のモチベーションにつながっていたような気もする。まとまったお金が必要な時は、下宿先の主人から借金し、2週間ごとの給料から毎回下宿代に足して返済した。それも2週間だったから、計画できたと思っている。

 現在の日本では1カ月に1度、給料銀行に振り込まれることが多い。経済危機が叫ばれ、実際に収入も減っている人が多い今、オーストラリアのような2週間に1度の給料日制度が効率的な運用に役立つかもしれない。

今回の教訓

 月に2回の給料日で喜び2倍。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら



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