続・チームで使えるオンラインストレージを探す――Dropbox、SkyDrive、quanpツール de オシゴト

社外のプロジェクトメンバーも利用できて、セキュリティ的にも信頼できるオンラインストレージを探すマコト。しかし、どれもいまいち決め手に欠けるようだ。

» 2010年02月18日 10時25分 公開
[後藤康成,Business Media 誠]

連載「ツール de オシゴト」とは

 メール以外のコミュニケーションツールやコラボレーションツールを模索する新連載「ツール de オシゴト」。主人公のマコトは、1日100通を超えるメールを受信する広告代理店のビジネスパーソンだ。メールが埋もれて見逃すことも数回。過去のメールを検索するのに時間がかかってイライラすることもある。そこで、メールに代わるコミュニケーションが簡単に管理できるコラボレーションツールを模索する。

前回までのあらすじ

 社外メンバーを含めたプロジェクトチームで使えるコミュニケーションツールとして、Twitterのような「Yammer」や話題の「Google Wave」、β公開中の「feedpath Rooms」を試したマコトたち。グループカレンダー選びも一段落ついた今、次に気になるのは「オンラインストレージ」だ。社外のプロジェクトメンバーも利用できて、セキュリティ的にも信頼できるストレージサービス探しが始まった。最初に試すのは、複数PCでデータを同期、共有できる「Dropbox」だ。


 オフィスに戻ると、マコトはさっそく共有ストレージのリサーチにとりかかった。最近はIT系ニュースサイトなどでクラウドサービスが多く取り上げられていることもあり、クライアントの坂本さんが言っていた「Dropbox」についても知っていた。

 Dropboxは、米国のベンチャー企業が運営しているサービスだ。PCのローカルに保存しているデータと、クラウド上のデータを同期できることで有名である。初期状態で容量は2Gバイト(利用料は無料)。それ以降は50Gバイトまでは月額9.99ドル、100Gバイトまでは19.99ドルだ。

 共有フォルダにアクセス権限を設定することも可能なため、複数人での作業にも利用できる。ただし、もともとパーソナルユースをメインに想定して設計してあるようなところがあり、複数台のPCから同じアカウントで制限なく利用できたりと、セキュリティに関しては少し不安だ。複数メンバーのコラボレーションツールとして使うには、工夫が必要かもしれない。

リコー「quanp」やマイクロソフトの「SkyDrive」をチェック

 日本で販売が始まってすぐにiPhoneを使い始めたマコトは、iPhoneアプリについても比較的詳しい。これまでも、iPhoneとPCの両方で利用できるストレージはいくつか利用してきた。

 Appleの提供している「MobileMe」は、年額9800円で20Gバイトのストレージを利用できる。また、フィードパスの提供する「feedpath Mail」の1機能であるブリーフケースも、共有ストレージとして利用可能である。

MobileMe

FeedpathMail

 現時点でiPhoneには対応していないが、次に見つけたのはリコーの「quanp(クオンプ)」だ。日本語のユーザーインタフェースに加えて、10Gバイトのストレージを月額300円で利用(共有)できる。携帯電話からのファイルアクセスや、メールでの画像アップロードも可能だ。

 マイクロソフトの「SkyDrive」も試してみた。同社のメッセンジャーソフトなどと共通のアカウントで使用でき、日本語にも対応している。特筆すべきは、無料でなんと25Gバイトの容量が利用できる点である。

quanp

SkyDrive


 調べていくうちに感じたのは、これらのサービスはパーソナルユースをメインに想定したようなものが多く、今回のプロジェクトで利用する共有ストレージとしては操作性に難がありそうなものばかりということだった。以前晋作から紹介された「Fresh Meeting」にもファイル共有機能があることは調査済みだが、1ファイル当たり10Mバイト、計100Mバイトの容量では心もとない。どうやら、今回も晋作の助けを借りなければならないようだ。(つづく)

今回紹介したツール de オシゴト 概要
Dropbox 複数のPC(Mac含む)やiPhoneでデータを同期できるオンラインストレージ。ファイル共有機能も備えている。
MobileMe Appleのデータ同期サービス。ストレージ容量は20Gバイトで共有も可能。
feedpath Mail 従業員すべてのメール送受信を蓄積し検索可能など、監査機能に優れたWebメール。
quanp リコーが運営しており、Webブラウザやクライアントソフト、携帯電話など複数のデバイスからファイルの閲覧とアップロードが可能。
SkyDrive マイクロソフトのオンラインストレージ。無料で25Gバイトまで利用できるのが魅力。

筆者紹介:後藤康成(ごとう・やすなり)

 フィードパスCTO兼feedpath Rooms エバンジェリスト。シリコンバレー・ベンチャーを経て2000年ネットエイジ入社。技術開発担当取締役としてネットビジネスのインキュベーション案件およびテクノロジー投資案件などを担当しビジネス&テクノロジーと幅広い経験を持つ。

 2005年、クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立。Zimbraの日本市場展開、ビジネススケジューラーのfeedpath Calendar事業統括を担当するとともに、3月サービス開始予定のメールに変わる次世代企業間コラボレーションツールのfeedpath Roomsのエバンジェリストでもある。著書として「Web2.0 BOOK」など。Twitterアカウントはfeedpath。


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