たった3秒で“最高の自分”に――イチローもやっている「アンカリング」テクニック30代、V字回復への道(2/2 ページ)

» 2012年04月12日 14時00分 公開
[千代鶴直愛,Business Media 誠]
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ステップ3:ジェスチャーを決める

 いま作ったフレーズと組み合わせて、いつでも「最高の自分」を引き出すための刺激となるジェスチャーを用意します。このジェスチャーは日常的にはやらない動作を選んでください。また、あまり奇抜なものや、人に見られたら恥ずかしいと思われるものは避けましょう。あなたが最高のメンタリティーでのぞまなければならない場面で使いますので、人に気がつかれないような動きにしてください。

 ジェスチャーの例としては「左手の親指の先と中指の先を合わせる」「左手の親指の爪をじっと見る」「左手の親指を中に入れてげんこつを作る」などがあります。

ステップ4:関連付ける

 輝いていた瞬間を思い出し、フレーズを作り、ジェスチャーが決まったら、アンカーは全部そろいました。あとは、過去の体験との関連付けをしていけばアンカリングは完成です。

 まずは、誰にも邪魔されない静かな場所と時間を確保しましょう。人が出入りしない場所がベストです。夜中の自分の部屋が一番いいかもしれません。ゆったりとソファかイスに腰掛けリラックスします。最初のうちはあれこれ頭が余計なことを考えてしまうかもしれませんが、しばらくそのままにして心が静まるのを待ちます。呼吸も深くゆっくりとしてください。

 気持ちが落ち着いてきたら、輝いていた瞬間をできるだけリアルに思い出します。そのとき目に入ってきた景色、光、近くにいる人物、聞こえてくる言葉、音、におい、手で触れていたものの感触、足の感覚、肌で感じた風――。そのとき、あなたはどんな気持ちでいたでしょうか? そのときの体験に浸り、もう一度そのときの感覚を楽しんでみましょう。

 そして、そのときと同じ高揚した気分になったら、その気分に浸りながら、アンカーを組み合わせていきます。作ったフレーズを心の中で唱え、ジェスチャーをします。感情がピークに達したら、そこでこの動作を終了します。これでアンカリングは一応完成したことになります。

ステップ5:確認する

 関連付けが間違いなくできたか確認します。フレーズとジェスチャーを同時に行ったときに、過去の輝いていたときの気分を思い出せるでしょうか?

 もし条件反射的に思い出せたら、アンカリングは成功しています。もし瞬時に思い出せなければ、ステップ4のプロセスをもう一度行います。アンカーと過去の記憶をしっかりと関連付けられるまで、この作業を繰り返しましょう。何度か確認をして、瞬時にその気分が蘇ってくるようになったら、アンカリングは完成です。

ステップ6:実践する

 自信を持ってのぞまなければならない場面が来たら、実際にアンカリングを実践してみましょう。慣れてくると、電車の中でも、歩きながらでも、会議中や商談中でも、たったの3秒でできるようになります。

 アンカリングのテクニックを覚えると「今日のプレゼン、準備不足でまずいな……」と不安に襲われている時や「なんだか分からないけどやる気が出ないな……」という時ですら、すぐに堂々として自信にあふれ、意欲的な自分を取り戻せます。身体の芯からメラメラとエネルギーが湧いてくるはずです。ぜひ覚えてみてください。

筆者紹介:千代鶴直愛(ちよづる・なおよし)

 リード・コミュニケーションズ代表取締役。ビジネスパーソンの内なるパワーを解き放つ人材育成コンサルタント。業績不振に喘ぐ大規模事業部を半年でV字回復させたり、低迷していた中堅企業をわずか2カ月で成長軌道に乗せたり、400店舗中ワースト20の店舗2店を全店舗中ベスト5に導くなど、V字回復のプロフェッショナル。キャリア開発、意識変革、コミュニケーション、リーダーシップ、部下育成等のテーマで研修を行い、常時、受講者満足度95%以上のパフォーマンスを維持してきた。中でも特に、40代管理職の人材育成を得意としており、業績の低迷に悩むマネジャーやミドルを、これまでことごとく蘇らせてきた。2度に渡って人生のどん底からはい上がった自らの経験が、ビジネスパーソンに勇気を与える要因の1つとなっている。

 著書に『自分の値段がズバリわかる』(かんき出版)、『ビジネス・バカを極めろ』(ビーケイシー)、『「豊かさ王国」への完全移住マニュアル』(徳間書店)、『成功と幸せの法則 最終ハードル』(徳間書店・訳書)、『自信の作り方・持たせ方』(アイ・イーシー・通信教材)がある。


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