FOMAとしては初めて指紋センサーを搭載したのが富士通製の「F900i」(2003年12月の記事参照)。認識は指をすべらせるスライド方式に変わり、セキュリティのロックや解除がスムーズに行えるようになった。
「F505i」(2003年7月の記事参照)では、セキュリティの解除をメニューから行う必要があったが、F900iではクリアキーの長押しで一時解除が可能になった。「操作の際にはセキュリティを解除しなければならないが、いちいちメニューからたどるのは面倒。操作するときに一時解除すれば、指紋認証かパスワード入力の画面が出て、セキュリティを解除できる。操作が終わった後には自動的にセキュリティがかかる仕組み」(富士通)。
富士通製端末はこれまで、指紋センサー搭載の「F505i」、GPS機能を装備した「F505iGPS」(2003年12月の記事参照)、通信機能と連携可能な歩数計機能を備えた「F672i」(2003年9月の記事参照)と、「いざというときにあると心強い機能を狙って入れてきた」と富士通。「FOMAには今後、FeliCa機能が搭載されるなど、セキュリティ面が重要になってくる。われわれとしては、“安心ケータイ”という路線を推進する中で、今回も指紋センサーを搭載した」
ソフトウェア部分のベースとなるのは、前モデルの「F2102V」だが、細かい部分での使い勝手が向上している。
例えば、これまで4つあるソフトウェアキーのうち、上の2つに対応するメニューしか画面に表示されなかったが、F900iでは4つすべてが表示されるようになった。「下のキーの役割は、覚えるか使ってみるかしか知るすべがなかったが、F900iでは下のソフトキーでも何ができるのかすぐ分かる」
静止画撮影時の画像サイズや明るさ、撮影効果などの切り替えも、撮影画面上で左右キーを操作すれば行えるように改良されている。また細かいところでは、これまで縦一列に表示されていた文字入力時の予測入力候補が、画面の下半分に出てくるようになり、視認性が高まった。
また、2004年春モデルとして登場する富士通製PC「FMV-DESKPOWER/BIBLO」のテレビ録画対応モデルで録画した番組をminiSDに記録すれば、F900i側で再生させられるという。
実はF900iは、前モデルのF2102Vに比べて5グラム重く、5ミリ長くなっているが、ホールド感は前モデルに比べて向上している。これは絞りが工夫されているからだ。「前モデルでは先端部にあったカメラをヒンジ部付近に移した。このデザインと絞りはカメラがトップにあるとできなかった」
またメガピクセルカメラを搭載しながら、前モデルと同じ厚さにできたのは、回路の集積化と小型化のおかげだという。「背面の有機ELは、端末の薄型化と視認性向上に貢献している」
ボディカラーには「ライムグリーン」という、これまでのFOMAにはない鮮やかな色を採用(ほかにシルバーとネイビーがラインアップされる)。これは若いユーザー層の取り込みを狙ったものだ。「絞り込みの工夫と若々しい色で、持ちやすさとスタイリッシュさを両立させた。サイズ的にはそれほど小さいわけでもないが、手になじむ形に仕上がった」
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