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» 2004年05月14日 10時40分 UPDATE

「ムービー変装」は、“感情ブースター”

ボーダフォンの夏モデル2機種に搭載される「ムービー変装」は、顔の特徴を自動認識する「バーチャルアクセサリーエンジン」を端末に組み込むことで実現した機能。どのような楽しみ方ができるのかを開発会社に聞いた。

[後藤祥子,ITmedia]

 ひげやリボン、メガネなど、くっつけたい変装アイテムを選んでカメラを立ち上げると、ファインダーに写る自分の顔が変装済みのものに。顔を動かすと変装アイテムが自動的に追従し、写真やムービーに反映される──。そんな楽しみ方を提案するのがボーダフォンの「ムービー変装」だ(5月12日の記事参照)。

 夏モデルの「V602SH」と「V602T」に搭載されるこの機能は、顔のパーツを自動的に認識し、動きに合わせて画像を重ねる「バーチャルアクセサリー」エンジンを端末に組み込むことで可能になった。エンジンはN-Visionが開発。この会社はモーションキャプチャ技術を開発していたアイマティックから、顔の認証や追随などのエンジン部分を開発するエンジニアがスピンアウトして起業したものだ(2002年8月の記事参照)。

 バーチャルアクセサリーエンジンの搭載で、携帯電話の可能性がどのように広がるのかを、開発陣に聞いた。

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 カメラを起動して「ムービー変装」を選ぶと、選んだアイテムが自動的にカメラ画像に反映される。自分の顔パーツの位置や、アイテムの位置の設定は不要。涙のアイテムを選べば目の下、リボンを選ぶと頭に自動的にくっつく。変装した自分の姿を手軽に写真やムービーにできるのがウリだ。アイテムは静止画だけでなくGIFアニメも重ねられるため、動きのある変装を楽しめる

フレームとどこが違うのか

 一見、フレーム付き動画や静止画と変わらない機能にも思える「ムービー変装」だが、顔のパーツを認識するエンジンを搭載していることから、単なるフレーム以上のことができる。

 例えばフレームを使った撮影では、撮影時にフレーム内にうまく顔が収まるように撮影側が配慮する必要があるが、ムービー変装ではアイテムが自動追従するため、その必要がない。

 また、顔の引きやアップに応じて変装アイテムも拡大・縮小されるので、不自然な変装にならないのも特徴の一つだ。

 これは「エンジンが、顔の画像から各パーツを検出してその動きを見つける。それをリアルタイムにトラッキングして、その上に二次元の画像をかぶせて表示する」(N-Vision事業開発部の宮田拓弥部長)というエンジンの機能によるもの。エンジンは検知した顔の特徴点を元に変装アイテムを貼り付け、顔の動きに合わせてアイテムの拡大・縮小、変形を行う。ユーザーの元々の顔にメガネやひげがあってもパーツを検知でき、30度までなら顔の傾きにも対応するという。

 この技術は本来、顔を使ったユーザー認証のために開発されたもので、CPUパワーがあれば口や眉毛の動き、視線のトラッキングなどの細かい設定も可能だと技術開発部の畠田喜丈部長。「ムービー変装では顔の検知ポイントは10弱だが、CPUのスペックに応じて増やすこともできる。ポイントを増やせば、口が一定以上大きく開くと火を吐くとか、ウインクするとハートが飛ぶ、といった効果もかけられる」。

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 バーチャルアクセサリーがカメラに写った顔からパーツを自動的に検知する。ユーザーは顔のパーツとアイテムの位置合わせをする必要がない。アイテムは引きだと小さく、寄りだと大きくなっているのが分かる

 ボーダフォンへの提案も、最終的にはユーザー認証やテレビ電話への応用を視野に入れたものだ。「最近では携帯電話を使った認証手段として、パスワード入力や指紋認証、ICカードなどが提案されているが、顔認証なら端末にカメラが付いていれば、エンジンを組み込むことで対応できる。例えば他人が端末を開いても何も見えないが、本人が端末を開けば(インカメラが顔を認証して)画面が現れる──といったインタフェースも作れる」(畠田氏)。

ムービー変装は「感情をブースト」

 ムービー変装はボーダフォンが、ムービー写メールの利用シーンを拡大することを目的に採用した機能だという。「せっかく搭載したムービー写メールが、なかなか使ってもらえない。どうしたらもっと気軽に使ってもらえるのかを話し合う中で生まれた」(宮田氏)

 サービスイメージは、絵文字や顔文字の入った携帯メールの動画版だ。「携帯メールは、テキストという限られた手法の中で、ただの文章ではない面白さを提案できたので広く使われるようになった。動画でも同じことができないかと考えた」(同)。

 ただ顔のムービーを撮って送るより、大げさなアニメの涙が付いていたり、青ざめた顔になっていたほうがたしかに面白い。「ふつうのムービーを送るのは、電話で話したり、会って話したりする以上の付加価値がそれほどない。ムービー変装を使えば、感情をブーストするようにも働くので、ちょっと違ったコミュニケーションができる」(同)。

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