フィンランドのNokiaは燃料電池を使ったBluetoothヘッドセット100台を試作した。100%メタノールを直接燃料として使用するDMFC(Direct methanol fuel cell)方式。本体内に2ミリリットルのメタノールを注入して使う。リチウムイオン電池を使う現行モデルの約2倍に当たる、連続待受84時間、通話10.5時間の利用が可能。
同社がヘッドセットを試作した理由は「燃料電池の利便性を調べたかったため」(ノキア・ジャパン マルチメディア事業部のマッティ・ナスカリ マネージャ)。100台を試作し、各国でテストを行っている。
試作機の大きさはリチウムイオン電池を使う従来のヘッドセットと変わらない。内部にはポンプなどの駆動部を持たないパッシブ型となっている。
ナスカリ氏は燃料電池のメリットとして、1)一瞬でチャージできること 2)電源がない場所でも使えること 3)バッテリーの形状に左右されない形状が取れること を挙げた。
燃料電池の普及にあたっては、燃料をどうやって流通・販売していくかが課題の1つだ。メタノールは可燃性だが燃料ボトルはポケットに入れて持ち運ぶことも可能。燃料が危険ということならほかのバッテリーも危険だということになると、既に安全性は確保されつつあるとナスカリ氏はみる。現状は航空機内など公共輸送機関への持ち込みなどが規制されているが、各国で規制緩和が進んでいる。
流通の部分は、燃料電池に複数のカートリッジをまとめて販売することでクリアできる可能性もある。「Bluetoothは消費電力が少なく燃料1ボトルで数週間もつ。例えば20数個を製品にまとめて販売すれば1年は使えることになる」。
東芝なども小型燃料電池の開発を進めており、燃料電池は技術的には急速に実用段階に近づいている。しかし状況によって燃料電池とリチウムイオンバッテリーは使い分けるべきだというのがNokiaの考え。
「バッテリーすべてを燃料電池に置き換えるつもりはない。ハンドセット(端末)も(燃料電池搭載の)可能性はあるが、リチウムイオンバッテリーのほうがいい」(ナスカリ氏)。
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