「写メドル」たちが直面した芸能界の掟

» 2004年08月02日 22時45分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 写メール発のアイドル――名付けて「写メドル」たちのグランプリを決める、公開オーディションが都内で開かれた。

 携帯向けグラビアサイト「加納典明ワールド」と連動したイベント。アイドルを目指す女性がカメラ付き携帯で撮影した画像をサイトに応募し、これに視聴者が投票して順位を決める。サイトには、現在月300通を越える応募があるという。

PHoto あいさつをする加納典明氏

 今回のオーディションの主旨は、応募者の中でも特にユーザーの評価が高かった13人が集結し、グランプリを決めるというもの。会場にはイエローキャブの野田義治社長やホリプロ、オスカー・プロモーションなどの芸能スカウト関係者も審査員として登場。厳しい審査の目を光らせた。

PHoto オーディションの様子
PHoto 中には、13歳の候補者もいた。会場では小さい頃から習っていたというクラシックバレエを披露したほか、練習で培った柔軟性をアピールしていた(上写真)
PHoto

 オーディションでグランプリを獲得すると、加納典明氏の撮影でサイトデビューを飾ることができる。また、準グランプリもサイト上でデビューすることが約束されている。会場には、過去に同オーディションから芸能界デビューを果たした加藤つかささん(右写真)も駆けつけた。

野田社長のキツイ一言

 オーディション参加者は、各々が自分の個性をアピールした。たとえばエントリーNo.3の田中貴子さんは、自ら描いたというプロ級の腕前のイラストを持参した。

 これには加納氏も「これは素人の域を越えている」とコメント。屈託のない表情で、志望動機を聞くなどしていた。

Photo 会場でイラストを披露する田中さん

 会場の雰囲気が一変したのは、イエローキャブの野田社長が発言を求められた時だった。

Photo

 野田氏は前出の田中さんに向かい、この種のオーディションに参加するのは「やめといた方がいいよ」と言い放つ。

 その理由は、ズバリ「ルックスとか年とか、誰と比べても負けるから」。せっかくのイラストの才能があるのだから、そちらで勝負すべきとの意図だったが、あまりに率直なもの言いに会場には緊張感が走った。

 野田社長はまた、25歳の西崎理及さんに対して「グラビアはやっぱり若いことが有利」と諭す。

 「(25歳という年齢でグラビアアイドルとして成功する)可能性は、すごく薄い。変な夢を持たないことだ。勘違いしてしまうと、大変なことになる」。芸能界の厳しさを知り抜いた、同氏ならではのコメントだった。

 同氏はさらに、何人かの参加者に「水着のサイズが合っていない」と鋭く指摘する。

 「自分の? 用意してもらったものでしょ? (水着が)大きすぎて、プロテクターみたいになっている。それで損している」

PHoto 島田真菜美さんのように、コスプレで会場に乗り込んできた参加者もいた。過去に声優を目指していたという

 野田氏はまた、エントリーNo.8の島田真菜美さんを論評する。島田さんは“アニメオタク”を自称しており、会場では「小倉優子さんを超えるアニメオタク向けアイドル」を目指すと話していた。

 野田氏は、島田さんのバストサイズ(90センチ)に着目して「あなたは胸のでかさだけで商売になるよ」と話しかける。「……顔は、後からできてくると思う」。

 その率直なセリフに会場が笑うと、同氏は真剣な表情で「そういうもんだ」と強調した。

photo 中には、あまり野田社長の追及を受けない候補者もいた。エントリーNo.7の加藤妙子さんもその1人。ふたを開けて見ると、彼女は準グランプリに入賞する

 ひとしきりアピールが終わったあと、選考結果が発表された。グランプリに選ばれたのは、エントリーNo.12の中村光里さん。グラビアアイドルというイメージではないものの、清楚な印象が審査員から高い評価を受けた。

 興味深かったのは、急きょ「審査員特別賞」が設けられたこと。受賞したのは、野田氏が厳しいセリフを投げかけていた“イラストが得意”な田中さんと、“コスプレイヤー”の島田さんの2人。

 野田さんは2人に花束を渡しつつ、こう語りかける。「審査員特別賞というのは、あなたは『絵だけ』あなたは『胸だけ』――そうとってもらっても結構。それを武器にして、頑張んなさい」。厳しさの裏側に透けて見える、将来を思いやった言い回しに感心させられた。

Photo 前列左から、イラストが得意な田中貴子さん(審査員特別賞)、コスプレをしていた島田真菜美さん(審査員特別賞)、古川友美さん(準グランプリ)、後列左から、芸能デビューを果たした加藤つかささん、中村光里さん(グランプリ)、加藤妙子さん(準グランプリ)

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