EdyとSuicaは「やはり共存できる」その理由は?mobidec 2004(1/2 ページ)

» 2004年08月27日 21時21分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 電子マネーの「Edy」と「Suica」は競合するのか、共存するのか――。

 ITmediaでは先日、JR東日本にインタビューを行った(8月20日の記事参照)。その中で、担当者による「(社内でも意見が分かれているが)競争になるかといわれれば、競争になると思う」とのコメントがあった。やはり競合するのか。

 この問いに対するビットワレットの“回答”を、「mobidec 2004」会場で聞くことができた。パネルディスカッション「FeliCa搭載ケータイによって拡大するビジネスチャンス」に登場したビットワレットの執行役員、企画部統括部長の宮沢和正氏は上記の問題に言及。従来どおり(6月25日の記事参照)「棲み分けることが可能」との立場を繰り返した。

Photo ビットワレットの宮沢氏。現在「おサイフケータイ」のうち25%近くがEdy登録していると話す。「ビットワレットとしては30%を目指しているのだが、この数字が多いか少ないかは、分からない」

Edyはローカルでも動くが、「Suicaは異なる?」

 司会者からこの話題を振られた宮沢氏は、「メディアは“対決”と書くのが好きだが……実は(ビットワレットとJR東日本は)仲がいい。同じFeliCaの技術を使っている、兄弟のようなもの」と話す。

 「意見交換もしている。電子マネーの市場はまだ小さいので、協力して大きくしていくのが大事だ」。電子マネーの市場で、ビットワレットとして100%をとりにいくつもりもないとした。

 もっとも、自社のシェアがあまりに少ない状況も困るはず。Suicaが利用シーンを駅構内以外に拡大し始めた今では(7月6日の記事参照)、競争は激化するのではないか。

 これに対し、宮沢氏は「SuicaはオンラインのLAN環境などが必要になるが、うちはオフラインでも動く。ここに大きな違いがあるため、棲み分けられる」との見方を示した。

 これには説明が必要だろう。Edyでは、加盟店がポスレジなどに導入するシステムに“Edyモジュール”と呼ばれるユニットが入っている。これは、セキュリティを高めるための機構で「一種の金庫のようなもの」(同氏)。電子マネーの情報を保存している。

 店側はこの“金庫”に取引データを格納しておき、データが貯まってきたところで初めて通信を行う。自販機や、街のラーメン屋などは常時接続の環境がない場合もあるが「ダイヤルアップでセンターにアップすればいい」のだという。

 これがSuicaでは、状況が少々異なると宮沢氏。

 「詳細はJR東日本に確認してほしいが、Suicaは基本的に『乗車券』サービスを拡張したもの。毎日乗車の情報を集計するし、定期券を落とした際『このカードは利用を停止するように』といった情報を全端末に配信して、使えなくすることもできるようになっている」

 そのため、有線接続されたネットワークを構築することを前提にしているのだという。

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