お年寄りと戦車の文字入力──インタフェースはまだまだ進化する

» 2004年09月17日 17時14分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 キーボードや入力インタフェースに関心を持つ人で構成する研究会「キーボード&入力インタフェース研究会」が9月15日に開いた年次研究会では、手回し式の文字入力装置や、携帯電話向けの新しい入力法など、個性的なインタフェースが研究発表された。

手回しキーボード

 「高齢者はキーボードの装置が苦手」――キーボード操作を覚えられない母親を助けようと、本田展士さん(個人参加)が開発した入力装置「ジャイロスティック」。乗り物の操縦かんのような形で、一見してキー入力に使えるとは思えない。

ジャイロスティック

 グリップ部の回転角度で「あかさたな…」の行を、ハンドルを倒す角度で「あいうえお」の列を指定できる。例えば「こ」を入力するなら、グリップ部を2段(か行)回転させ、ハンドルを5段(お列)倒せばいいといった具合だ。

 キーボードと違って直感的に操作法を覚えられるため、高齢者にも簡単に使ってもらえるという。ただしまだ試作段階で、PCとは接続できない。

 試作機は重さ8キロ。操作すると手が疲れるのが難点だ。会場からは「高齢者向けよりは、船や戦車など、揺れが激しくキーボード操作しにくい場所で使うのがよいのではないか」との声が聞かれた。

サムローラ

 また本田さんは、同じ仕組みで手のひらサイズの「サムローラ」も試作した。ホイールを親指で縦回転させることで行を、本体上部を親指で横回転させることで列を指定する。これなら本体も軽く、気軽に片手入力可能だ。

“ゴロ見”インタフェース

 役に立たない、暇つぶし用インタフェース――デンソーアイティーラボラトリ・大坪五郎さんの「Goromi」(ゴロ見)は、入力したキーワードをGoogle検索し、検索結果サイト内の頻出語句や画像を次々に表示してくれるソフトだ。

 一度語句を入力すれば操作は不要。ただ眺めているだけで暇つぶしできる。表示された語句から好みのものをクリックすれば、その語句から再検索も可能だ。

「75」と入力すると、75に関連する語句や画像が次々に表示される

 Goromiが目指すのは、ゴロゴロしながら「何か面白いものないかなぁ」とTVのチャンネルを回している感覚。大坪さんは、Goromiを職場での暇つぶしに使っているという。

 大坪さんは、Goromiが起動したヘッドマウントディスプレイを装着して仕事に臨む。普段は下を向いて仕事をし、ちょっと暇になったら視線をヘッドマウントディスプレイに移すというわけだ。視線の上下だけでオンとオフを切り替えられ、ちょっとした暇に“ゴロ見”できる。

 「ヘッドマウントディスプレイをつけて出社しても誰も突っ込んでくれないのが悩み」(大坪さん)。

携帯をもっと便利に

 ひらがな1文字を入力するのに、最大5回もキーを押さねばならない携帯の「5タッチ方式」。これに代わる効率的な入力方式も発表された。

 中川圭司さん(個人参加)が考えたのは、ローマ字入力方式。携帯電話のテンキー12個のうち6個に母音「AIUEO」と「Y」を割り当て、それ以外のキーには、Y以外の子音を、使用頻度順に3段階に分けて割り当てる。

 最も使用頻度の高い「KSTNHRY」と母音はそれぞれ1タッチで入力可能。Yを1回押すと、頻度が2番目に高い「GZDJBMW」が、Yを2回押すと3番目の頻度の「CFLPQVX」が入力可能になる。よく使う文字ほど少ないキータッチで入力できるため、効率的に入力可能だ。

 住宅都市工学研究所理事の加藤善也さんが提案するのは、携帯電話のボタン底部を液晶タッチパッド化したインタフェース。液晶によってボタンの表記を自由に変更でき、表記に合わせて機能も変化させられる。

 キーの標準画面は、「電話」「TV」「メール」「家電」といったメニューにし、「電話」を押すとテンキーが、「メール」を押すと文字入力キーが、「TV」を押すと電源ボタンやチャンネル切り替えキーが表示されるといった仕組みだ。

 「デジタル家電など、さまざまな製品に対応した多機能リモコンとして携帯電話を使えるほか、キーに文字を刻印せずに済むため、ハードを世界共通化できる」(加藤さん)。

3D映像用“顔”インタフェース

 覗き込んだ部分がズームアップする――3D画像操作用の“顔”インタフェースを、三菱総合研究所 情報環境研究本部 情報技術研究部の飯尾淳・主任研究員が展示していた。

 顔をディスプレイに近づければ、顔周辺の画像が大きくなり、遠ざかれば小さくなる。脇から覗き込めば、画像が回転して脇の部分を大きく表示する。

 ディスプレイの上部にカメラを2台を搭載。視差を使って検出した顔の位置に応じて3次元映像を動かす。マウスやトラックボールなど2次元インタフェースよりも直感的に操作できるのが特徴だ。

手の動きでコマンド入力

 日立製作所基礎研究所 人間・情報システムラボの石川忠明主任研究員は、手の動きを読み取ってコマンド入力できるPC用インタフェースを展示していた。

 PCのディスプレイの下に4つのセンサーを配置。左右、上下、斜めの手の動きを検知し、あらかじめ割り当てられたコマンド入力する。キーボードショートカットで入力できるコマンドなら何でも割り当て可能だ。

 例えば、Windows Media Playerで、手を左から右に動かせば再生、右から左に動かせば巻き戻し、という風に利用できる。

“光”のキーボードもついに発売

 松下電器産業の子会社・ピンチェンジは、“光”のキーボード「バーチャルキーボード」を展示。投影されたキーボードの上でタイピングすれば、位置センサーが手の動きを検知してキー入力できる。10月中旬発売予定で、2万9800円(税込み)。

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