次にPocket PC向けの動画プレーヤーとして人気が出てきた「BetaPlayer」を使ってみた。これはSigmarion IIIでも高いパフォーマンスを示すなど話題のソフト。hx4700が搭載しているIMAGEON固有の機能に対応、MPEG-4(DivX、Xvid)の再生も行える。
BetaPlayerでは、PCでの再生用にエンコードした640×480ピクセル、約2Mbpsの動画ファイルまで、フルスクリーンで問題なく再生可能なことを確認できた。動画ファイルとディスプレイの解像度がマッチしていることもあるが、フルスクリーンでの再生は驚異的ともいえるクオリティだ。512Mバイト、1Gバイトといった大容量SDメモリカードの低価格化が進んでいる状況もあり、ポータブルビデオプレイヤーとしてかなり物欲をそそられてしまった。
iPAQ Pocket PCの中で、hx4700のみが採用しているのがタッチパッド。従来モデルの4方向ボタンがある位置にタッチパッドを装備。2つの操作モードが用意される。
操作モードの1つは「ナビゲーションモード」。従来の4方向キーと似たような操作が可能だ。タッチパッド上には上下左右に小さな突起があり、軽く触れるだけでボタンを押すのと同じように動作。中央部には突起がないが、押し込むとエンターと同じ動作になる。中央部の押し込みには多少の慣れが必要だが、4方向キーとしての操作は快適だ。特にスクロール操作は突起に軽く触れ続けているだけで済むので、物理的にボタンを押し込むより指が疲れない。
もう1つの操作は「カーソルモード」。画面にマウスカーソルが現れ、PCのようにタッチパッドを使った操作が行える。便利なのはドラッグロック機能だ。例えばスクロールバーをドラッグロックすると、パッドを上下になぞるだけで長いスクロールを行える。
タッチパッドを利用したユーザーインタフェースは、従来からの4方向キーに比べて、それほど使いやすいとはいいがたい。ただし筆者のように「Pocket PCはペン操作が基本」ととらえているなら、「可もなく不可もなく」と感じるかもしれない。
アプリケーションボタンも、一見フラットパッドが組み込まれたように見えるが、従来通り独立したボタンとして存在しており、クリック感も悪くない。長押しにも対応し、画面の縦横やタッチパッドの操作モードも1ボタンの操作で切り替え可能だ。
hx4700の魅力は、4インチのVGA液晶と強力な通信機能に尽きるだろう。特にビジネスデータの閲覧時には、VGA表示のありがたみが分かる。
hx4700のライバルとなるのは、東芝のGENIO e830Wや富士通のPocket Loox v70。VGA液晶、CF+SD/IOスロット、無線LAN内蔵という点は共通だ。Pocket Loox v70は液晶ディスプレイが3.7インチと一回り小さく、Bluetoothも内蔵しないなど、スペック面で若干見劣りするが、GENIO e830Wはスペック上はほぼ横並びになる。
この中でhx4700の魅力をあげるとすれば、メディアプロセッサATI IMAGEONの採用が挙げられる。現状ではWindows Media PlayerがATI IMAGEON向けに最適化されておらず、BetaPlayerというフリーソフトによって動画再生能力を発揮するという状況ではあるが、PC向けにエンコードしたDivXファイルを苦もなくフルスクリーン再生できるのは魅力だ。
また、同じ4インチ液晶ディスプレイを搭載するGENIO e830Wと比べて、20%以上大容量なバッテリーを搭載。より長いバッテリー動作時間(カタログスペックで30%長い)を確保している。それでも重さが13グラム軽い187グラムに抑えられているのはポイントが高い。大容量バッテリーも背面に出っ張る形とはいえ、それほどデザインに影響させずに装備している。
hx4700 | GENIO e803W | Pocket Loox v70 | DELL Axim 50V(米国モデル) | |
CPUクロック | 624MHz | 520MHz | 520MHz | 624MHz |
画面サイズ | 4インチ | 4インチ | 3.7インチ | 3.7インチ |
サイズ(ミリ) | 77×131×15 | 77×135×16.7 | 73×118×16.9 | 73×119×16.9 |
重さ(グラム) | 187 | 200 | 165 | 175 |
バッテリー容量 | 1800mAh | 1320mAh | 未公開 | 1100mAh |
最大バッテリー動作時間 | 約13時間 | 約10時間 | 約13時間 | 未公開 |
拡張スロット | CF+SDIO | |||
無線LAN | ○ | ○ | ○ | ○ |
Bluetooth | ○ | ○ | × | ○ |
hx4700は、現状で最強といえるスペックをそつなくまとめている。タッチパッドの採用には賛否両論あると思うが、ペンオペレーション中心であれば大きな不満は感じないだろう。
6万9930円という価格も、競合製品に引けを取らない。PDAとして安価なものではないが、“購入するなら機能、性能面で妥協はしたくない”といったユーザーなら、魅力的な選択肢の1つであることに間違いない。
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