Macromediaのモバイル向け「多方面戦略」MAX 2004

» 2004年11月05日 16時15分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 Macromediaといえば、グラフィックデザイナー/デベロッパー向けのツールを提供する企業。そんなイメージで捉えられることが多い。間違いではないが、Flash Liteなどを初めとするコンシューマエレクトロニクス(CE)デバイス向けの新機軸を見逃すと、同社の今後の方向性を見誤ることになる。

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 米国で開催中の「MAX 2004」会場で、同社ゼネラルマネージャー&シニアバイスプレジデントのトム・へ―ル氏に、モバイル戦略などを聞いた。

携帯での活用例

 Macromediaが組み込み向けに開発したFlashである「Flash Lite」は、いまや携帯電話の世界に着々と進出しつつある。日本では既にドコモKDDIが採用しており、ボーダフォンでも今冬からリリースされる新機種にFlash Liteが搭載される予定だ。

 トム氏は「日本はリーディングマーケット。(日本のキャリアは)アーリーアダプタだ」と話す。海外ではほかに、独T-mobileがFlash Liteを採用している状況だ。

 携帯でのFlashの利用法は2つ考えられる。1つは、メニュー画面やポータルサイトなどをFlash化し、魅力的なユーザーインタフェースを提供すること。日本法人のモバイル&デバイスソリューションエンジニアの松井邦夫氏は、携帯に留まらず「液晶画面のあるものは、すべてFlash化できる」とその意欲を表現している(10月23日の記事参照)

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 もう1つの可能性は、Flashベースの「コンテンツ」を携帯プラットフォームで広めること。前述のT-mobileは既に、ニュースやスポーツ情報などをFlashベースで配信するサービスを提供している。ワールドワイドで計画されている、新サービスのFlash Cast(11月4日の記事参照)も同様の狙いを持っている。

 「3Gで高速サービスが提供されているとはいえ、まだ384Kbpsなど帯域は限られている。Flashのswfファイルは軽いし、Flash Castならコンテンツをローカルにキャッシュできる」

 トム氏はまた、「携帯事業者は、音声の収益が落ち込んでいる。今後はデータ通信による収益の占める割合が増えていく」と話す。これは日本のキャリアがよく話していることだが、ここでいう“データ通信”をMacromedia流に翻訳すると、もちろん“=Flashアプリケーション”ということになる。

 「携帯電話はディスプレイデバイスではなく、コミュニケーションデバイス」(同氏)。コンテンツの制作にあたっては、双方向性を持たせることが重要との見方を示した。

Breeze? をモバイルデバイスで

 Macromediaといえば、動画やテキスト情報などを組み合わせ可能なプレゼンテーションソフトウェア「Breeze」でも知られる。社員向けのeラーニングや、各種プレゼンテーションなどに活用されるツールだが、実はこのBreezeも、モバイル向けバージョンも開発されている。

 「Breezeがモビリティを持てば、例えばトラックの運転手にセンターから地図を示すことができる。医者と患者のやり取りにも利用できるだろう」。緊急の場合に、医者がモバイルデバイス経由でグラフィカルな情報を示す――といった利用法を想定している。

 トム氏は、モバイル向けBreezeがPCのプラットフォームとも連携してくると考えている。

 「まず携帯に、ミーティングが開かれるが参加するかと通知が届く。モバイルクライアントから『参加する』と答え、時間になったらPCでアクセスすると、Breezeの社内プレゼンテーションが始まる。(一連の流れは)オールFlashだ」

 Pocket PCなどで動作するBreezeは、現在開発中。「今後1年以内にリリースされる」とした。

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