本格始動は来年から 韓国のモバイル放送:韓国携帯事情

» 2004年12月20日 16時06分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 去る12月15日〜18日、「DMB EXPO 2004」が韓国で初めて開催された。DMBとは“Digital Multimedia Broadcasting”のことで、日本でいうデジタル放送を「地上波DMB」、モバイル放送を「衛星DMB」と呼んでいる。展示会には、SamsungやLGなどのメーカから、MBCやKBCといった地上波放送局までが参加し、韓国DMBのこれからを提示した。衛星DMBを中心にリポートする。

大規模なイベントではなかったものの、今後、期待のかかる分野であり、またSamsungやLGなど注目企業の最新技術を体験できるとあって、会場は業界関係者が多く詰めかけていた

地上波の再放送を巡ってサービスインが遅延

 日本では東芝が中心となって推進しているモバイル放送だが、韓国ではSK Telecomが放送事業への進出に積極的。日本のモバイル放送と提携し、日韓共同の衛星打ち上げを実現するなど衛星DMB事業に力を入れている。韓国での衛星DMB事業権を取得し、同事業を主催する「TUメディア」もSK Telecomの子会社だ。

 韓国では衛星の打ち上げシーンがCMで流されるなど、大々的な宣伝活動を行ったものの、サービスはいまだ開始されておらず、認知度もいま1つだ。その理由は事業者と地域放送協議会の対立にある。

 TUメディアは「(衛星DMBにおいて)衛星放送番組のほか、地上波番組も放送されていい」と主張したものの、地方の放送局は「衛星DMBが地上波番組までサービスすれば、地域の放送局が立ち行かなくなる」として反対。この問題の決定権を握る行政機関の放送委員会は後日、衛星DMB問題を議論したが、地域放送協議会の強い反発で話がまとまらず、結論は来年3月に持ち越された。そのため当初は12月だったサービス開始が、来年1月に試験放送、5月に商用放送開始と延期されている。

チャンネルは映像14、音楽24

 開始が遅れている衛星DMBだが、チャンネル数は映像14チャンネル(モバイル専用チャンネル1つ、モバイル総合編成チャンネル3つ、ジャンル別専門編成チャンネル8つ、ペイ・パー・ビュー1つ、予備1つ)、ラジオ24チャンネル(ノンストップ音楽放送11個、DJ音楽放送4つ、バラエティ放送7つ、予備2つ)と、日本のモバイル放送より多いチャンネル数で開始される予定。データ放送は2006年から開始予定だ。

 番組内容についてはまだ明らかにされていないが、モバイル専用チャンネルは、モバイル用の小さな画面でも楽しむことのできるコンテンツ、またジャンル別専門編成チャンネルでは、スポーツや芸能などの分類がなされるという。

 料金は、加入費が2万ウォン(約2000円)で、受信料は1カ月に一般1万3000(約1300円)ウォン、ペイ・パー・ビュー7000、3000、1500ウォンとなる予定。TUメディアでは、衛星DMBの特性に合った、新しいコンテンツ開発や映像産業の支援などのため、今後5年間で7052億ウォンを投資する計画だ。

当面の課題のクリアが成功への鍵か

 「DMB EXPO 2004」で最も注目を集めたのは、やはりSamsungのブースだ。Samsungは、衛星DMB対応で来年1月発売予定の「SCH-B100」(SK Telecom)をはじめとした端末を展示。自社の携帯電話ブランドである「Anycall」DMB放送局と題した、DMBの体験ゾーンを設けたほか、DMBフォンにPDPをつなぎ、大画面で衛星DMBを楽しむ提案をしていた。

左:来年1月に発売予定の「SCH-B100」。右上から2番目の「tu」というボタンを押すことで、放送の受信が始まる。右:「SCH-B100」の裏側。カメラは200万画素。本体左側面には、MMCカードスロットがついている。
左:12月7日にフランスで開催された「韓仏ITビジネスフォーラム」でもお披露目された、Samsungの地上波DMB用の携帯電話。TFT液晶26万色で、130万画素のカメラ、MP3機能つき。移動中にも受信が切れる現象「Look-up」が発生しない設計。右:ヨーロッパの地上波DMBに対応した、Samsungのスライド端末。まだプロトタイプの段階ということで、直接触れることはできなかった

 Samsungと双璧をなすLGのブースでも、衛星DMB対応端末などの展示が行われた。TUメディアのブースでは、衛星DMBの仕組みを図式で紹介していたほか、専用端末で衛星DMBをアピールしていた。

 訪れた人の中には、衛星DMBと地上波DMBの違いが分からないといった人や、2、3年後に開始するサービスと思い込んでいる人もいるなど、一般ユーザーの認識としてはいまひとつだったが、キャリアやメーカー側の期待は大きい。SK Telecomの試算では、DMB加入者数は、2005年に100万人、2007年には黒字転換できるとされる400万人を見込んでいる。そのためにはまず、地上波放送局との折り合いをつける、コンテンツを充実させるなどの課題が不可欠だ。それは日本にもそのまま当てはまることといえるだろう。

LGの衛星DMB対応携帯電話「SB100」。2.4インチという大画面のため、かなり幅が広い
デジフレンズというメーカの衛星DMB専用端末「DF-100」。画面は中央を軸に回転する。MP3から3Dゲーム、ナビゲーション、電話まで、さまざまな機能を持っている
アクセステレコムというメーカの衛星DMB専用端末「SENCIO」。MP3、デジタルカメラ、語学辞書、ゲームなど、こちらも多機能だ

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月14日 更新
  1. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  2. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  3. 個人情報の流出にユーザーはどう備える? 乗っ取りやクレカ不正利用を防ぐ「3段階」の対策ガイド (2026年10月12日)
  4. 楽天モバイル、KDDIローミングが大幅に縮小――ユーザーに対する説明責任はないのか (2026年10月11日)
  5. Google、画面付きトラッカー「Google Fitbit Edge」発表 日本では2万6800円で予約開始 バッテリー交換にも対応 (2026年10月13日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. NTTドコモ、新幹線ホームでの動画視聴を快適に JR名古屋駅の通信品質、どう改善? (2026年10月12日)
  8. ダイソーで1100円のノイキャンイヤフォン「TWS009」を試す 騒音カットの効果は実感も電池持ちに課題か (2026年10月09日)
  9. 10月1日から楽天モバイルの「au 4G LTEエリアローミング」が縮小も意外と残っている件 (2026年10月10日)
  10. ファーウェイはなぜ「24時間測り続けること」にこだわるのか ウェアラブル開発責任者が語る医療機器との違い (2026年10月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー