Intel幹部が語る「Yonah」の性能と消費電力

» 2005年03月03日 18時14分 公開
[IDG Japan]
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 1月に「Sonoma」プラットフォームを立ち上げてから間もないが、IntelはノートPCの性能と管理しやすさを向上させるための新たなモバイル技術を推し進めている。同社幹部が3月2日、明らかにした。

 現在Intelで製造されているトランジスタの約3分の1はモバイルデバイス向けだと、同社執行副社長兼モビリティ事業部ジェネラルマネジャー、ショーン・マローニ氏は基調講演で語った。ノートPC、PDA、スマートフォンにおいてモバイルコンピューティング技術への需要が高まるのに合わせて、いずれこの割合も増えるだろうと同氏。

 これらトランジスタの多くは、Pentium Mのデュアルコア版「Yonah」向けとなる。同プロセッサはCentrinoモバイルテクノロジーを搭載したノートPCの性能を劇的に高めるが、バッテリー駆動時間は現状と変わらないと、モビリティ事業部モバイルプラットフォーム部門の副社長兼ジェネラルマネジャー、ムーリー・エデン氏は語った。

 Yonahは、1日に発表された一部のデスクトップ・サーバ向けのデュアルコア設計よりも少し統合が進んでいると、エデン氏はマローニ氏の基調講演後のプレゼンで語った。ノートPCユーザーはバッテリー駆動時間が短くなるのに耐えられないため、消費電力と性能のためにYonah上の2つのPentium Mコアを密に同期化しなくてはならなかったという。

 こうした機能強化を加えたものの、IntelはYonah搭載ノートPCのバッテリー駆動時間を、Sonomaプラットフォーム(DothanプロセッサとAlvisoチップセットを含む)搭載機よりも延ばすことができなかったとエデン氏。同氏は、2個の処理エンジンを搭載することで消費電力は必然的に大きく増えるため、シングルコアPentium Mと同程度の消費電力に抑えられたことをIntelは非常に誇りに思っていると話した。

 バッテリー駆動時間の改良ペースが鈍ったことは懸念されるが、その懸念はYonahの性能によって軽減されるはずだ。「これはものすごいゲームマシンになるはずだ」とエデン氏。同氏は、Yonahの性能をデスクトップ向けPentium 4やAMDのモバイルAthlon 64と直接比べることは避けたが、競争力のある製品を開発したという自信があると語った。

 Yonahは2個のコアを使うことで、マルチスレッドアプリケーションをより迅速に実行したり、2つのシングルスレッドアプリケーションを同時に実行することができると同氏は説明した。これがさらに、Intel Virtualization Technology(VT)とIntel Active Management Technology(AMT)によって強化される。VTとAMTにより、IT管理者はソフトアップデートやバグフィックスをオフラインのノートPCにアップロードできる。

 これら2つの技術は、2006年初めにNapaプラットフォームの一部としてYonahに実装される予定だという。エデン氏によると。Napaには、グラフィックス性能を向上させた統合型チップセット「Calistoga」と、無線ネットワーク接続時の電力消耗を減らす無線チップ「Golan」も含まれる。

 IntelはNapaを搭載したコンセプトノートPCを多数披露した。企業ユーザー向けのあるモデルでは、ボタン1つでPDAやスマートフォンとノートPCの間でデータを同期化できるとIntelのテクノロジーエバンジェリスト、マイケル・トレイナー氏は説明した。

 また同氏は別のコンシューマー向けノートPCのコンセプトモデルについて、ユーザーがノートPCの両側を手でつかんで、DVDソフトを起動したり、ゲームをしたり、その他の簡単なマルチメディアを実行できるよう設計されていると話した。このモデルはUSB経由で本体背面に着脱できるDVDドライブを備えるが、ユーザーはこのUSBポートを介して予備のバッテリーやTVチューナーを加えることもできる。

 ノートPCはIntelの主要なモバイル製品のターゲットだが、同社は携帯電話向けプロセッサ、フラッシュメモリ、無線ブロードバンド技術WiMAXにも取り組んでいる。

 Intelの初期の携帯電話プロセッサは成功しなかったが、マローニ氏は、2度目の挑戦はもっと成果を挙げられると信じている。同社の新たな携帯電話向けプロセッサ「Hermon」ではアプリケーションプロセッサ、3G通信チップ、フラッシュメモリを1つのダイに統合している。マローニ氏は初めて、受託製造業者のAsustek Computerが製造したHermon搭載スマートフォンを披露した。これは、年内にほかのメーカーから登場する見込みだ。Intelの広報担当者は、Harmon搭載機に関心を持っている携帯電話メーカーや販売地域について詳細を明かすことは拒んだ。

 マローニ氏は90ナノメートルプロセス技術で製造される多値セルチップ、携帯電話以外のデバイス向けの新種の組み込みフラッシュメモリ、65ナノフラッシュメモリなど、次期フラッシュメモリ製品について手短に語った。

 WiMAXは、大都市をカバーする無線IPネットワークを実現する手段としてIntelが構想している技術。マローニ氏は、WiMAXが現実のものとなるまでの道のりは長いことを認めつつも、WiMAX Forumの加盟企業が増えていることを、業界がWi-Fiを支持した時と同じような勢いがWiMAXにも生まれている証拠として挙げた。

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