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» 2005年03月05日 02時56分 UPDATE

フィルタ配置工夫で解像度を4倍に〜PenTile Matrix

IDF SpringでClairvoyanteが展示した技術は、液晶の画素配置を工夫することで、高輝度・低消費電力を実現する。そして小型液晶の解像度を4倍に高める可能性も持っている。

[本田雅一,ITmedia]

 米サンフランシスコで行われていたIntel Dvelopers Forum Spring 2005の展示会にClairvoyanteが新技術を展示した。携帯電話のような小型・高解像度のディスプレイ、そして、いずれはノートPC向けディスプレイに興味深い進化をもたらすかもしれない。

大きなRと大きなB〜サブピクセル数は3分の2に

 同社が提案する技術は、液晶を構成する各画素の配置と液晶を駆動するドライバにある。PenTile Matrixという特殊な配列でサブピクセルを駆動することで、明るさや消費電力、あるいは画質の向上をもたらす。同社自身は液晶パネルもドライバチップも製造していないが、技術を液晶ベンダーに提供。日本の液晶ベンダーにも採用の動きがあるという。

 PenTileの最初の世代は、「RGBRGBRGB……」というサブピクセルの連続で構成される画素を再構成し「RGBBGRRGBBGR……」と繰り返すというものだ。

ksidf1.jpg 左がRGP Stripeを使った通常の液晶、右がPenTile Matrixを使った液晶。右側のほうが明るい。それぞれ10.4インチのXGA表示だ

 RGBは、それぞれRed(赤)、Green(緑)、Blue(青)。ディスプレイをカラーに見せる3色のフィルタである。

 これだけでは、単に並び順が変化しただけだが、2つのRあるいはBが繰り返されるところで、ブラックマスクを取り払ってひとつのサブピクセルにしてしまうというのがPenTileの“ミソ”だ。

ksidf2.jpg サブピクセルの配置を拡大したもの。RやBが2つ繰り返される部分は、大きな1つのサブピクセルになっている

 ある画素はGと大きなR、別の画素はGと大きなBで構成されるようになる。互いに隣り合う画素は、大きな画素の色が交互になるように並んでいた。このように配置すると色がおかしくなってしまいそうだが、目の感度が高いGのサブピクセルはすべての画素に含まれるため、見た目には色が変化するようには見えない。

 しかしパネル全体のサブピクセル数は3分の2まで減るため、サブピクセル間の格子占める面積が減る。つまり開口率がアップするため画面が明るくなる。加えてサブピクセルの列も3分の2になるため、液晶を駆動するドライバの数も減らすことが可能だ。

 同等のバックライト、プロセスならばPenTileのほうが明るく、あるいは同じ明るさならば省電力な液晶パネルとなる。なお、画素配置が異なるため、同社の設計した特殊な液晶ドライバチップと組み合わせて使う必要があるが、トータルのコストは安くなるという。

 実際に液晶に近付いて見ると、自然画は非常にナチュラルに表現するが、テキスト表示など細い線が多用される部分では、ピクセルごとに色が分離して見える傾向もわずかに見られた。

 同社の担当者は「現状、10.4インチのXGAでノートPC用のパネルを試作したが、もっと高解像の液晶パネルならば、サブピクセルが視認できなくなるため、色の分離はなくなる」と話す。

 しかしPCの場合、表示する解像度の細かさには限界もある。Windows XPのユーザーインターフェイスは最大でも133ppiのディスプレイまでしか想定されていないからだ。将来的にはモバイルノートPCの高解像化(それは消費電力の増加も伴う)において有効な技術かもしれないが、現時点では自由度の高い設計ができる専用機、特に携帯電話で有益な技術だろう。

縦横2倍のサブピクセルレンダリング

 だが同社は携帯電話向けには、別のピクセル配列を考えているようだ。

 通常の液晶ディスプレイでは、サブピクセルは縦長の形状をしており、RGBの3つがそろうことで正方形画素になる。しかし第2世代のPenTileは、正方形の画素を横2つ、縦2つに分割した4つのサブピクセルで構成。それぞれをRGBW(ホワイト)で構成するというものだ。

 Wサブピクセルには当然、カラーフィルターが配置されないため、輝度のロスがなく、液晶の輝度は70%もアップするという。もちろん、バックライトを暗くすれば、同じ明るさで消費電力を削減することも可能だ。前者の場合と同様、新しいサブピクセル配置には内蔵ドライバチップで変換するため、駆動時に与える信号は通常のRGB信号でいい。

 と、これだけならば単に明るくなるだけだが、この液晶パネルは縦、横ともに2倍の解像度でサブピクセルレンダリング技術を利用できる。サブピクセルレンダリングとは、サブピクセルの境目を任意の位置に取ることで、(従来型液晶パネルでは)横方向に3倍の解像度とするものである。シャープのLCフォントや、マイクロソフトのClearTypeといった技術が、サブピクセルレンダリングのテクニックを応用している。

 第2世代PenTileの場合、画素の構成要素を縦・横に2分の1ピクセルづつずらしながらサブピクセルレンダリングを行えるため、これまでは拡張できなかった縦方向の解像度も高めることが可能になる。つまり、画素サイズそのものは小さくならないが、画素の配置精度は、縦・横ともに2倍、トータル4倍の解像度となる。

 従来のサブピクセルレンダリングは縦長の文字となる欧文には向いていたが、縦横の線が複雑に絡み合う日本語フォントでは効果が限定的だった。しかし、縦方向も2倍となることで漢字表示でも品質が大きく向上する可能性がある。

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