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» 2005年04月18日 18時32分 UPDATE

3G端末の失敗認め、“日本向け”に立ち返るボーダフォン

現在の苦境や、3G端末のUIの不出来などを素直に認め、再出発するボーダフォン。組織も見直し、津田氏とモロー氏が二人三脚で経営に当たる。しかし純減はしばらく続くようだ。

[斎藤健二,ITmedia]

 契約者数の純減傾向が続くなど、前途多難なボーダフォンだが、組織を見直し再起を図る。4月18日の記者会見では、4月1日付けでボーダフォンの新社長に就任(2月7日の記事参照)したビル・モロー氏が現状認識と今後の見通しを話した。

グローバルから日本へ視点を戻す

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津田氏が「若くエネルギッシュな人」と形容するモロー氏は46歳。東京デジタルホン時代から同社に関わり、日本テレコムの社長も務めた。2004年からVodafone UKの社長を務めていたが、約1年で日本に戻ってくることになった

 元ドコモ副社長の津田志郎氏を会長に、Vodafone UKからビル・モロー氏を社長に迎え、「二人三脚の新しい経営体制」(津田氏)で新しくスタートを切るボーダフォン。

 しかし1月から3カ月に渡り契約者数が純減するなど(4月7日の記事参照)、かなり厳しい状況が続いている。「現状は必ずしも明るいとは思っていない。我々が期待していた状況でもない。しかしこの状況を許容していくつもりもない」とモロー氏。

 モロー氏と津田氏は、苦境の原因の1つを、“グローバルに焦点を合わせすぎたこと”にあると見る。

 会見の冒頭、津田氏は「日本企業のボーダフォンとして、日本のユーザーのニーズに対応した商品、サービスを提供していくことが使命」と話した。モロー氏も「ボーダフォンはあくまで日本の企業なのです」と強調する。これまで“グローバル企業の1つ”としての強みを強調してきた同社だが、ここに来て改めて日本向けを意識せざるを得なくなってきている。

 理由の1つは、“全世界共通”とした3G端末にある。ボーダフォンは2004年の12月から、全世界共通の端末群として3G端末7機種を投入してきた(9月22日の記事参照)。その結果、3Gの累計契約者数は4月17日に100万契約を突破するなど伸びてはいるが、端末に対するユーザーからの不満も頻出している。

 「この7機種が競合他社の端末と比較して競争力が十分だったとは思っていない。2Gと比べて操作性が変わってしまい、使いにくいというおしかりもいただいた」(津田氏)

 「現在の3G端末に満足しているユーザーもいるかもしれないが、その比率は大変低いと思う。共通機種以外に、日本専用端末も投入していく必要があるだろう。まずは日本のニーズに応えていく」(モロー氏)

 ボーダフォンの3G端末は、全世界共通の端末とした結果、日本のユーザーにとっては馴染みのないユーザーインタフェースとなった(1月7日の記事参照)。ここが課題だというのが津田氏の認識だ。「世界共通で使えることに重点を置いた結果、日本ユーザー向けのUIへの配慮が欠けたんだと思う。可能な限り修正可能なところは修正しようという努力をしている」(津田氏)

 一方で、全世界向けに開発したことで短期間に7機種を投入できたのも確かだ。「世界共通端末というコンセプトはまだ発展途上にある。コンセプト自体は正しいが、まだ改良が必要」(モロー氏)。

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日本市場を意識した端末は2006年から

 では、日本に焦点を合わせた端末はいつから登場なのか。「お客様の声に耳を傾けて、使って頂ける端末にするために、現在新端末を開発中。ただし新端末開発は時間がかかる。今年に投入する機種は、以前から仕様を決めて開発してきたもの。ただしもちろん、できるところは改良していく」(津田氏)

 2005年については、既存の予定通り進めるが、できる改良は進めるスタンス。また2G(PDC)端末のラインアップも拡充していく。

 「PDCについても、今期、種類を多くしようと思って準備を進めている。ただし3Gに確実に変わっていくので、短期的な方策の1つとして、2G端末も導入した方がいいということです。(3Gから)軸足は移していない」(津田氏)

「しばらく純減は続く」〜モロー氏

 モロー氏は、そう簡単にはボーダフォンは苦境から脱せないという認識だ。「しばらく純減は続くと見ている。いろいろな対策を採る。構造的な背景もある。変革して改良していきたいと思う。この状況が続くのは永久ではない」

 しかし、既に新しい方向に向かって歩み始めている。例えば、写メールやJ-SKYなどのサービスの生みの親の1人と言われる太田洋氏を再び招き、端末・サービスなどを任せた(2001年3月22日の記事参照)。太田氏は同社を離れ、独立していたが、モロー氏が呼び戻した形だ。また料金プランも新しくする。パケットサービスは数日内に発表予定、音声サービスも夏から秋にかけて新プランを提供する予定だ。

 こうした取り組みによって、「イノベーションを中心とした会社に切り替えていきたい」とモロー氏。“写メール時代”のような、イノベーションに富んだ事業者に戻れるかどうか。古巣に戻ったモロー氏の舵取りが期待される。

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