ソフトバンクは携帯電話事業で、垂直統合モデルを推進すると見られていた。しかしよく聞いてみると、ほかの事業者も巻き込んだ「オープン」な思想も持っているようだ。
13日の「ワイヤレスジャパン2005」ではソフトバンクBBの常務取締役で、モバイル事業のキーマンである宮川潤一氏が講演に登場。同社の戦略を語った。
ソフトバンクはYahoo!BBのADSLで、インフラレイヤーからISPのレイヤー、さらにその上のコンテンツレイヤーまで自社でトータルに提供する「垂直統合型モデル」を採用している。携帯事業でも同様に、自社である程度をまかなうことは可能だ。
しかし宮川氏は、「グループ会社で各レイヤーを分担するというよりは、他業種との融合を図る」と話す。自社でもコンテンツ提供するが、できるだけほかの事業者に参加してほしいイメージのようだ。
「固定を垂直統合でやってきて、いくつか悩みぬいている部分もある。(垂直統合の要素も持つが)オープンなモデルも採用する」
会場で示されたモデルによると、ソフトバンクは課金インフラ、コンテンツの配信インフラを押さえ、特典などのポイント管理、請求、認証などを行っていく。しかしその上のコンテンツプラットフォームは「我々が持つ必要はないかな」(同氏)。「なんでもありだ、という感覚でもういちど見直してみたい」という。
この“何でもあり”という部分には、MVNOやそれに似たモデルの事業展開も含まれるようだ。既にソニーコミュニケーションネットワークが、イー・アクセス網の上で「So-netブランドの携帯」を提供することに意欲を示しているが(6月23日の記事参照)、ソフトバンクでも同じことがあり得るという。
「我々のプラットフォームの上で、MVNOが走ったりゲーム機でしゃべったり(通信できたり)するようになる。ISPさんという範囲だけじゃなくて、SIさんが自分たちのオリジナル端末出したり、ゲームを作っていたコンテンツプロバイダが通信端末を出したりするようになる」
宮川氏は、そもそもインターネットの出現でユーザーニーズがパーソナル化しているにも関わらず、ユーザーに選択の自由が比較的少ないと指摘する。これを打開すべく、事業者が新しいサービスを提供しようにも多額の資金や事業者免許が必要で、参入障壁は高い。
だがこれからは「もう少し小ぶりのもの(=サービス)がいくつか乱立する世の中になるのでは」と宮川氏は話す。ソフトバンクとしてボード(端末基盤)だけは用意して、あとはいろいろな企業が自社ブランドの端末をリリースするような、そんなオープン性を提供するとした。
端末イメージも語る |
イー・アクセスが端末のイメージモックを披露したが(7月13日の記事参照)、ソフトバンクはどんな端末をイメージしているのか。宮川氏は、あまりに斬新なモデルだと日本市場では受け入れられないだろうと見る。 「日本ではこんな新しいお茶が出ました! ではだめで、『ニューウーロン茶』というと受け入れられたりする」(同)。携帯もこれと一緒で、当初は既存事業者の端末と似たモデルでないと「そっぽを向かれる」だろうという。 ただし宮川氏として、表現したい仕様もあるという。そのスタイルとは「PDAチックなもの、やはりミニPCのようなイメージになってくるかな」。ポケットに収まるPCのような携帯が、便利だろうとの見方を示した。 |
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