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» 2006年01月06日 14時14分 公開

ケータイが教室、放送が学校――10代が“居る”ラジオ (1/4)

その番組のテーマは学校。教室はケータイサイトの中にある。全国の子ども達が、親指でおしゃべりし、ラジオで交わる。

[岡田有花,ITmedia]

 その学校の教室は、ケータイの中にある。

 「ケータイサイトは、北海道の子から沖縄の子まで一緒にいられる巨大な教室」――中高生がメインリスナーのラジオ番組「SCHOOL OF LOCK」(月〜金の午後10時〜、TOKYO FM系列)。開始3カ月で、ケータイサイトの月間ページビューは1000万を超えた。サイトのBBS(掲示板)で繰り広げられるリスナーの雑談からその日のテーマを拾い上げ、番組を作っていく。

 ケータイはただ自然に、当たり前にそこにあったと、プロデューサーの森田太さん(エフエム東京番組制作部専任部長)は話す。「番組のテーマは学校だから、ケータイは教室かな、と」。サイトはPCからも見られるが、携帯からのアクセスの方が多い。

photo ケータイサイト。BBS「学校掲示板」には生徒からの熱い書き込みが相次ぐ

 ケータイを“活用した”番組を作ったつもりはない。「ケータイは酸素と同じ」だから。今の20〜30代はケータイやネットに“出会った”。でも番組のリスナーは、ケータイが当たり前という環境で生まれ、育ってきた世代だ。

 サイトのBBSではリスナー同士が、ラジオの話題や恋愛、勉強、進路のこと……他愛もない雑談から真剣な相談まで、親指で語り合う。掲示板で恋が生まれ、“2人の世界”が築かれることもある。

 「先生」と呼ばれる番組の作り手は、リスナーという「生徒」達のそんなおしゃべりから、その日の授業──放送内容を決めていく。従来型の、作り手が企画してテーマに沿ったハガキを集め、紹介するという番組とは一線を画す。

 森田さんは逆説的に言う。「若者がラジオを聞かなくなったと言われるが、聞くラジオがなかっただけ」と。ケータイやMP3プレーヤーで音楽を聞く今の子ども達。ラジオに限らず“聞く”ことには慣れている。でも、自分がそこに“居る”と感じられる音がない。「自分の存在を確認できるものを、作ってあげたい」

 「パーソナリティーがいて、そこにリスナーがやってくるというのは80〜90年代のラジオ。リスナーが作った『番組』という名のコミュニティーがあって、そこにパーソナリティーがやってくる、そんなラジオが今、必要と思った」

photo 放送中の森田さん

 携帯サイト構築を担当した、ジグノシステムジャパンの平一彦ソリューション事業部長はこう話す。「以前は、リスナーとリスナーの間に、ラジオがいた」――番組でハガキやFAXが紹介されない限り、あるリスナーが別のリスナーを知ることはできなかった。ネットがあれば、リスナー同士が直接つながることができる。

ケータイでつながり、ラジオで手を握る

 番組への投稿も、ケータイやPCメールがメインだ。話すのは苦手でも、メールならどんどん送れるという子は多い。でも――森田さんは言う。「手軽につながれる“電信”を利用して、リアルにつながれるコミュニケーションをやりたい。バーチャルなコミュニケーションは、それ以上でもそれ以下でもないから、ちゃんと手を握ろうって伝えたい」

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