Qualcomm CEO、「先進的な日本市場には常に注目している」MediaFLO Day(3/3 ページ)

» 2006年03月06日 08時00分 公開
[園部修,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「IEEE802.20」は「モバイルWiMAX」より優れた技術

 同社が中心になって推進しているワイヤレスブロードバンド接続の規格、「IEEE802.20」については、「モバイルWiMAX」よりも明らかに性能が高く、優位な点の多い技術であることを強調した。日本の通信事業者の多くは、モバイルWiMAXの実証実験などを積極的に行っており、盛り上がりを見せている。しかしジェイコブス氏は「モバイルWiMAXの性能や能力については、『誇大広告』(hype)な部分があるように思う」という。

 Qualcommの試算では、モバイルWiMAXのセクター毎の平均スループットは、3Gの発展系であるCDMA2000 1x EV-DO Rev.AやHSDPAと比べても遅いという(1月19日の記事参照)。セル半径もEV-DO Rev.Aより小さいため、基地局はEV-DO Rev.Aの2倍以上必要になると見込まれる。

 「セクタースループットやキャパシティー、ハンドオーバーの技術など、802.20には非常に優れている点が多いと考えている。高い性能を追求しなくてはならない日本市場のキャリアがどの技術を選ぶべきかは自明だ」(ジェイコブス氏)

キーワードは「パートナーシップ」「実行」「革新」

 今後の米Qualcommの戦略については、3つのキーワードを挙げた。それは「パートナーシップ」「実行」そして「革新」だ。

 「パートナーシップ」はチップメーカーであるQualcommにとって重要な、キャリア、端末メーカー、コンテンツプロバイダ、ソフトウェアデベロッパとのパートナーシップである。Qualcommが持つ個々の技術は、それだけでは意味がなく、パートナーに利用してもらって初めて意味のあるものになるという。

 「実行」とは、発表したロードマップ通りに、CDMA2000 1x EV-DO Rev.A、Rev.BやHSDPAといった新技術を導入していくことだ。テクノロジーを進化させ、市場をリードしていくことはこれからも欠かせない要素の1つとした。

 「革新」は、CDMAの次世代の技術やIEEE802.20といった新しいテクノロジーを常に開発し続けていくこと。ジェイコブス氏は「PC業界では新しいアイディアがなく、進歩が止まってしまった感がある。ユーザーが新しいPCを買う理由がなくなってきているのだ。携帯電話業界ではそういう状況を招きたくはない」と意気込みを示した。

Photo 米Qualcomm本社には、同社がこれまでに取得した特許のパネルを飾った壁、“Patent Wall”がある。パネルの数は1000枚を超える
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月07日 更新
  1. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【5月4日最新版】 1万ポイント還元や最大20%還元などの施策が充実 (2024年05月04日)
  2. 改札で困らないように モバイルSuicaで「オートチャージ」を設定する方法 (2024年05月06日)
  3. 4万円台からの「Nothing Phone (2a)」は誰向けか Phone (2)との比較で分かったこと (2024年05月05日)
  4. 皆さんは「スマホにガラスコーティング」してますか? 私はしていません (2024年05月04日)
  5. 楽天モバイルがeSIMの不正乗っ取りについて注意喚起――安心安全に使えるeSIM環境を業界を挙げて取り組むべき (2024年05月05日)
  6. ガストやバーミヤンの「テーブル決済サービス」、楽天ペイも利用可能に レジへ行かずに卓上会計 (2024年05月05日)
  7. ダイソーで110円の「ガラスコーティング液」は本当に使える? 試してみた結果 (2024年04月29日)
  8. GWのUターンラッシュでスマホを活用する技 道路の渋滞情報と、電車の混雑状況を確認しやすいアプリはどれ? (2024年05月05日)
  9. Evernoteからの乗り換えでオススメのメモアプリ5選 無料で使うならどれがいい? (2024年02月13日)
  10. 最新デジアナ文具でスケジュールも手書きしてアップ!? サラサラ書き心地の良いゲルインキタイプも登場──NeoLAB「Neo smartpen A1」 (2024年05月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年