米Qualcommは「第4の携帯デジタル放送」ともいわれる独自のコンテンツ配信システム「MediaFLO」を開発し、現在携帯電話キャリアに採用を呼びかけている。2006年中の商用化に向け、試験放送を通じて各種のテストや検証作業を行っている最中だ。米国では米Verizon Wirelessが、このMediaFLOを採用した映像配信サービスを提供する予定で、2006年内のサービスインを目指している(2005年12月2日の記事参照)。
今回Qualcommが行ったデモでは、子会社のMediaFLO USA(2004年11月2日の記事参照)が実際にサービスを提供する予定の、700MHz帯の6MHz幅を用いるシステムを使用した。過去にもBREW 2005 Conferenceや3G World Congress&Exhibition 2005、また日本国内などで何度かデモが行われているが、今回のデモは、小規模な伝送システムではなく、米Qualcommの本社があるサンディエゴに、実際に設置済みのアンテナから送信している試験用放送波を用いた点が従来のデモとは大きく異なる。
アンテナは、サンディエゴ郊外にあるBlack Mountainの山頂に設置されている。米Qualcomm本社からは約16キロほど離れている場所で、出力50キロワットで電波を発射しているという。現在は複数の試作端末を使って、実際の動作状況や映像の品質などを検証中だ。
デモでは実際に放送されているQVGA(320×240ピクセル)/15fpsの動画を受信して端末上で視聴できた。なお本放送ではフレームレートは30fpsに引き上げられる。また、これまでにも紹介があったとおり、EPGによる番組の選択が可能な点や、約1.5から2秒とワンセグよりも短い時間でチャンネルの切り替えができることなどが実演された。
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