携帯向け“放送局”をスタートさせるクアルコム(2/3 ページ)

» 2005年02月09日 00時29分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 1都市を平均2.5本程度の送信局でカバーし、放送を行う。米国では「300〜400のセルで、全米主要都市をカバーする」計画だ。国内では規制により放送波の出力が弱いため、必要な局数が増えるが、500〜600局程度で可能と見る。

 米国では716M〜722MHz帯の6MHz幅を使い、合計6Mbps程度の送信能力を持つ。QVGAサイズ、30fpsクオリティの動画をH.264を符号化に使い、350Kbps以下で配信できる。

 「1セグ放送のような固定受信機向けではなく、モバイル機器に最適化した」と米QualcommのMediaFLO技術部長のロブ・シャンドック氏。

 携帯電話による1セグ放送の受信は、当初最大1時間程度と見られているが、MediaFLOでは携帯電話に特化することで4時間程度の視聴時間を確保できる。

 携帯電話にQualcomm製の2種類のチップを組み込むことで受信対応が可能。2種類のチップとは、700MHz帯に対応したRFチップとOFDMの復調チップで、コストは20ドル程度。CDMA2000系端末だけでなくW-CDMA端末にも対応する予定だ。「FOMAのNECチップなどでも動く。Qualcommチップでなければ、動かないものを出すつもりはない」(松本氏)

同一の放送サービスを、各キャリアに提供

 携帯電話網を使ってリアルタイム動画を流すのと大きく違うのは、携帯キャリアではなくMediaFLOの運営会社が、サービスを提供することだ。コンテンツ収集や放送アンテナの設置、配信システムの提供などを行う。通信キャリアは、対応端末を開発・販売するほか、ユーザーへの課金を行う。

 各通信キャリアが個別に同様のサービスを行うと周波数の無駄が大きい。MediaFLOの運営会社が一括してサービスを提供することで、周波数を共有して使う。「各キャリアごとに6MHz幅の周波数が必要になる。それはみんなで共有しましょう」(松本氏)。従って、KDDIとドコモなど、複数のキャリアが導入して初めてメリットが大きくなる。

 コンテンツの配信方法としては、MediaFLOの放送波だけでなく、3Gネットワークも利用できる仕組みを取っており、携帯キャリアの役割が大きいことが1セグ放送とは異なる。

米国でのビジネスモデル。通信キャリアがエンドユーザーに課金し、キャリアを経由しMediaFLO USAが収入を得る。MediaFLOにはQualcommがソフトウェアなどを提供する。米国ではQualcommの子会社MediaFLO USAが、コンテンツマネジメントや配信サービスを行うが、国内では放送業界や通信業界と合弁会社を作るといった方向を模索している

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