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» 2006年05月30日 21時55分 UPDATE

ボーダフォン、経常利益が半減「赤字にはもぐらない」

ボーダフォンは2006年3月期の決算を発表した。売上高は1兆4676億円で、前年からわずかに減少。経常利益は744億円で、前年から半減した。

[杉浦正武,ITmedia]

 ボーダフォンは5月30日、2006年3月期の決算説明会を開催した。非上場になってから久しぶりとなる説明会(2005年5月13日の記事参照)で発表された売上高は、1兆4676億円で前年同期比で0.2%とわずかに減少。経常利益は同51.5%減の744億円となり、当期純利益は同69.4%減となる495億円を計上した。

 経常利益が前年度から半減した理由として、ボーダフォンは「積極的な顧客獲得」のための販売促進費用や、設備投資額がかさんだことを挙げる。営業費用は前年から793億円増えて、1兆3913億円だった。

「Yahoo!BBでは赤字にもぐったが、携帯はそうはならない」

Photo ボーダフォンCFOの藤原和彦氏

 ボーダフォンCFOの藤原和彦氏は、今年度の決算に影響を及ぼしそうな要素についていくつかコメントする。まずボーダフォンがソフトバンクグループになったことで、企業間のシナジーが働きコストを下げられるだろうと見る。

 4月27日付けでBBモバイルによる買収が正式に完了した後、翌28日には孫正義氏がボーダフォンの新社長に就任した。さらに休日をはさみ、翌営業日となる5月1日までにはソフトバンク本社がある東京の汐留ビルに移転したが、「ソフトバンクと日本テレコム、ボーダフォンの3社が別々のフロアに入るというフロア割りではない」(同氏)という。

 「ネットワーク部門は3社が同じフロアに入り、営業なら営業が同じフロアに、管理部門なら管理部門が同じフロアという体制になっている」。迅速に組織やネットワークを融合させることで、コスト削減も見込めるとの考えだ。

 ARPU(Average Revenue Per User:加入者一人あたりの月間売上高)が減少傾向にあるのは、今後も変わらない。これは携帯キャリアに共通した、頭の痛い問題だ。さらに番号ポータビリティ開始を迎え、キャリア間の競争が激化することもあり得る。値下げに踏み切るようなら、減収につながる。

 ただし、ボーダフォンは3キャリアの中で3G比率が最も低く、現状でもまだ20%程度にすぎない。これをポジティブにとらえれば、「まだユーザーを3G契約に移行させる余地がある」とも考えられる。一般にPDCから3Gに移行が進めばARPUは押し上げられると考えられるため、藤原氏は収益が大幅に悪化することはないだろうと見る。

 もう1つの要素として、今後巨額の顧客獲得コストを投じたり、設備投資に力を入れるようならすぐに利幅は圧縮される。実際、孫社長は設備投資に「数千億の下のほう」をつぎ込む考えを示している(5月10日の記事参照)。だが、レバレッジド・バイ・アウト(LBO)により買収を成立させた以上、ボーダフォンが黒字基調でなければ買収に要した調達資金を返済できないのも事実だ。

 藤原氏は、「ソフトバンクがYahoo!BB事業を立ち上げたときは、かなり下にもぐって(損益分岐点の下、つまり赤字になって)ご心配をかけた」としつつ、「連結全体ではそうならないようにする」とコメント。孫氏も方針として示しているが、利益を吹き飛ばすようなリスクを負った経営はしないと強調した。

モチベーションは下がったか?

 会場からは、経営戦略上の重要な問題として「ボーダフォン社員の士気は下がっていないのか」という点を問う声も上がった。これに対し、財務本部の副本部長、建石成一氏は個人の問題と断りつつ、こうコメントする。

 「個人的には、JRの時代(国鉄系の通信事業者だった時代)、日本テレコム時代のなつかしいメンバーが、たくさんおりまして……(笑)」。紆余曲折を経て、日本テレコムの固定網に携わっていた人間とボーダフォンの人間という、かつて同じ会社にいた人間が再び集結しているという。

 建石氏は続けて、もちろん当時とは雰囲気も違うし、グループ企業も多くなっていると話す。ただし仕事環境の変化にとまどう前に、いきなり仕事のアクションを起こしているともコメント。ともあれ、士気の低下が問題になるようなことは特にないのではないかとした。

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