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» 2006年10月05日 23時59分 UPDATE

Mobile Weekly Top10: ソフトバンクの料金体系、このままで大丈夫?

ソフトバンクが打ち出した「スーパーボーナス」は、1つの端末を長く使うと割安になるという料金体系だ。ソフトバンクは全面的にスーパーボーナスへの移行を進めたい考えだが、本当にそれでいいのだろうか。

[吉岡綾乃,ITmedia]

 今週は1位から5位までを、ボーダフォン改めソフトバンクモバイルの話題が独占した。確かに13機種54色の新モデルは“史上最大”で、インパクト・破壊力共に絶大。記事を書いても書いても仕事が終わらないため、モバイル編集部ではスタッフ全員疲労困憊した顔でキーボードを叩き続けていた……というのは余談。

 ところで今週は幕張メッセで「CEATEC JAPAN 2006」が開催されている。携帯3キャリアの中ではドコモとKDDIが出展。番号ポータビリティ(MNP)直前ということで、どちらのブースでも料金コーナーを設けていたのが印象的だった。

 こうなると気になるのが、出展していないソフトバンクモバイルの携帯利用料金である。実際、今週のランキング5位に“総合カタログから消えた「ハッピーボーナス」と「年間割引」”という記事が入っていた。ユーザーならなおさら、ソフトバンクの携帯料金がこれからどうなるのか、気になっているのではないだろうか。

photophoto NTTドコモブース(左)、auブース(右)の料金コーナー

スーパーボーナスはインセンティブモデルに対するソフトバンクの1つの回答

 現在携帯キャリアにとって、MNPと並んで大きなテーマとなっているのが「インセンティブ(キーワード参照)モデルを今後どうするのか?」という問題だ。

 日本では、インターネット接続やメール送受信、カメラによる写真撮影など、さまざまな機能を備えた携帯電話が当たり前。流通している携帯のほとんどは高機能で、しかも安価に購入できるという特異な状況にある。これは、SIMロックを前提にキャリアが独自端末を開発し、流通・販売を行っているためだ。

 このビジネスモデルでは、端末メーカーは国内の特定キャリアにしか製品を納められないため、端末メーカーがワールドワイドへ展開しにくいという問題が起きる。日本独自の通信規格であったPDCから、世界標準のW-CDMAへ移行しても、日本メーカーがなかなか海外展開できない理由の1つはここにある。

 一方キャリアは、高いコストを自社で負担しなくてはならない。非常に単純化した例を挙げると、5万円の携帯が1円で売られていたとすれば、4万9999円はキャリアが負担することになる。このコストはユーザーが支払う携帯電話料金にかかってくる。端末開発・購入に必要な販売関連経費は、キャリアの出費の中でも大きな割合を占めている。苦しいのは端末メーカーだけでなく、キャリアも同じなのだ。

 ただ、キャリアはこの負担をユーザーからのデータ通信料や通話料などで補完するというスタンスで、ユーザーが長い期間、機種変更をしなければインセンティブ分を回収できる。キャリアとしてはインセンティブ分を回収するまでの期間は、同じ端末を使い続けてほしいというのが本音だろう。

 こうした状況下で、最近は各通信キャリアのトップがインセンティブモデルについて言及している。例えばドコモの中村社長は「現状ではこのモデルは破綻している」(3月31日の記事参照)、「SIMロックを外した端末の販売には、良い面と悪い面の2つある」などと話している(7月28日の記事参照)

 ソフトバンクの孫社長もまた、インセンティブモデルの現状を深刻に受け止めている1人だ。「いい端末なら何度でも乗り換えるという人が多く潜在していることが分かった。これは携帯事業者から見ると大変な問題」「ワンセグケータイなどを購入してすぐ解約して手に入れる人がいる一方、長く使っている人にコストのしわ寄せが来ている。こうした、ある種間違ったビジネスモデルは是正しなければならないし、MNPによるビジネスモデル崩壊への対策でもある」と話している(9月28日の記事参照)

 インセンティブモデルの現状に対してソフトバンクが出した解決策が、9月1日からスタートした新料金体系「スーパーボーナス」(9月1日の記事参照)だ。これは同じ端末を長期間使うと割安になるという料金プランで、一括払いを選ぶと5万〜7万円程度かかるが、分割払いを選ぶと頭金という名目で、現在の端末販売価格と同程度の金額で端末が購入できる。ユーザーは毎月の利用料金に加えて割賦金を支払うことになるが、割賦金とほぼ同等の金額が利用料から割り引かれることで相殺される仕組みになっている。ただ、短期間(2年未満)で解約したり、壊してしまったりした場合には、キャリアが負担している割賦金分の割引きがなくなり、端末代金の残りをユーザーが支払うようになっている。

ユーザーのロイヤリティには2種類あるはず

 スーパーボーナスはよく考えられた料金体系だと思う。しかし、気になるのは“長期割引が引き継げない”という点だ(9月27日の記事参照)。ソフトバンクではスーパーボーナスに全面移行する考えで、しかもハッピーボーナスや年間割引での契約を受けつけない方針を取っている。継続期間は引き継げず、これまでソフトバンク(ボーダフォン、J-フォン)端末を長く使ってきて、割引率が高くなっているユーザーも、リセットして新規ユーザーと同条件でスーパーボーナスを契約しなくてはならない。これを恐れて、今回発表された新モデルへ機種変更できない、と考えているユーザーも少なくないのではないだろうか。

 キャリアはロイヤリティ(忠誠心)の高い優良ユーザーに対して、料金面の優遇などで還元することになる。ユーザーの、通信キャリアに対するロイヤリティには、大きく分けて2種類ある。1つは、1つの端末を長く使い続けること。そしてもう1つは、1つのキャリアと長く契約し続けることだ。

 1つの端末を長く使ってくれるユーザーに対しては、スーパーボーナスは良い施策かもしれないが、長期間契約してきたユーザーを切り捨ててしまうのはどうなのだろうか。

 MNP開始まであと2週間余り。MNPを前に、ドコモとauが長期契約ユーザーを囲い込もうとする中で、ソフトバンクは長期契約ユーザーに対して、むしろ冷たい仕打ちをしているように見える。今からでも遅くはないので、新機種発売の前に、ソフトバンクが長期契約ユーザーに対する優遇策を打ち出してくれたら、ユーザーは安心して新機種を選べると思うのだが……。

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